Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

100日目「きのうは列車で、きょうは歩いて川下り」(2015年11月25日)

歩数 19631歩
距離 11.7km
消費カロリー 677kcal

 本日の目的地の13番札所・大日寺まであと3kmというところにさしかかったころである。同行の高知新聞竹内記者がポツリと「今日は苦しいなあ。黒笹さん、なに書きますか?」と探りを入れてきた。いままでどんな平凡な1日でも余裕しゃくしゃくで翌日の朝刊の文章をひねり出してきた竹内記者にしては珍しい弱気発言である。
 確かに今日は歩き遍路としては刺激に乏しい1日だった。徳島県によくあるといえばある(失礼!)中山間の集落・阿川を出発して、途中一瞬だけ集落の中を抜け、人専用の潜水橋(高知では沈下橋)を渡るが、あとは鮎喰(あくい)川沿いに国道438号線をクルマと一緒にダラダラと歩くルート。途中だれかと出会えばそれなりにエピソードが生まれるのだが、それもなかった。明日の朝刊、どんな記事になるのか楽しみである、なんちゃって。

 とまあ、黒ちゃんが余裕たっぷりなのにはワケがある。徳島駅前から阿川まで乗ったバスの中で「今日は車窓から見えた鮎喰川のことを書こう」と決めていたからである。
 鮎喰(あくい)川は徳島県名西郡神山町奥屋敷周辺、雲早山の北斜面を源流域とする吉野川水系の支流で、河口から6kmのところで吉野川本流に合流する。黒ちゃんは川の名前に「鮎」の文字が入ったこの川のことが前から気になっていた。しかも「喰」の字も入っている。鮎食いの黒ちゃんとしては「いったいどんな渓相なのか、鮎はいるのか、名前の由来は?」などなど興味津々だったのである。
 インターネットで調べてみると、春先の水量の豊富な時期には昔から天然鮎が遡上し、中流域では水質の良い伏流水を使って「藍染め」や「鮎の養殖」が行われているとある。また、釣り関係のブログには大型の鮎が釣れる穴場とも書かれている。しかしそれ以外に「鮎」にまつわるエピソードは出てこなかった。鮎釣り師としては「昔から大鮎が釣れたから」というのがわかりやすいんですが、理由としては少しベタ過ぎますかね(笑い)。
 上から見たところ水質は良さそうで透明度も高い。しかし、大石が少なく岩盤と浅い砂地ばかりののっぺらぼうな渓相で、大鮎が育つ川には見えない。少なくとも鮎の友釣り師・黒ちゃんの心を騒がせる川ではなかった。夏遍路の時期にここを通れば多少は釣りの虫が疼いたのだろうが、初冬のこの時期は鮎はすでに河口に降っていてもぬけの殻のはずだから虫の疼きようがない。
 名前に憧れていた美人にナマで会ってみると、それほどでもなくて急に熱が冷めちゃったという感じであろうか、残念である(なんのこっちゃ)。

 というような次第で鮎喰川をじっくりのんびり品定めしながら歩いているうちに、いつの間にか13番札所・大日寺に着いていた。四国88カ所霊場には大日寺と名のつく寺が3つある。その内訳は徳島にふたつ、4番と13番、高知にひとつ、28番である。
 おもしろいのは4番と28番の御本尊は大日如来なのだが、13番大日寺の御本尊だけ十一面観音菩薩であること。寺の縁起によると、開祖の弘法大師自ら大日如来像を刻んで御本尊として安置したのだが、戦国時代に伽藍が焼失。江戸時代前期に阿波藩3代目藩主・蜂須賀光隆により再建されたが、後に隣に建てられていた一宮寺と一緒になり、寺の名前が消滅、大日如来は脇仏、御本尊が十一面観音(行基作)となった。
 その後、明治の神仏分離令を受けて一宮寺がふたたび大日寺と名前を変えるが、御本尊はそのままだったということである。阿波の13番大日寺の御本尊が大日如来でないのは以上のような理由による(ややこしいですな)。

 以上、気がつけば記念すべき通算100日目(まあ、単なる通過点なんですけどね。イチロー談)のブログ、鮎喰川の名前と大日寺の御本尊の話をネタになんとか切り抜けたと思うのですが、いかがでしょうか。

 刺激の乏しい平凡な歩き遍路の1日を振り返って一句
 <ゆる遍路 鮎喰の瀬音 寒々と>

黒笹慈幾


朝1番の徳島バスに乗り込んできたのは、神山町立広野小学校の生徒たち。


神山町を流れる鮎喰川。水は澄んでいるが、川床は土砂に埋まって魚の気配がしない。


鮎喰川に架かる潜水橋。クルマ以外のヒト、犬、猫、イノシシ、自転車が渡れる。


もうすぐ収穫をむかえる夏みかん、あるいは八朔か。


畑の畦道で小休止。ちなみにウンコをしているわけではありません。


商店の店先のベンチの背にぶら下げられていた手書き看板。バイリンガルである。


鮮やかな緑の畝はカブの畑。


かなり立派な造りのお遍路休憩所「おやすみなし亭」。


休憩所の内部。屋外に設置した風力発電機の電気を使った冷蔵庫完備である。


風力発電由来の電気のお接待は初めて。エコなお遍路休憩所「そよ風くん」の看板。エアコンのコマーシャルに思えちゃうのは黒ちゃんがヒネクレもんだから?


休憩所裏に設置されていた風力発電ユニット。そよ風にもかかわらずかなりのスピードで回転していた。効率がよさそうである。


第13番札所・大日寺の本堂。戦国時代に一度焼失したが、江戸時代に阿波藩主、蜂須賀光隆により再建されたもの。


大日寺なのに、ご本尊が大日如来ではなく十一面観音菩薩。その理由は?


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