Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

96日目「吉野川を渡り、徳島平野を北から南へ真一文字に横断」(2015年10月18日)

歩数 16036歩
距離 9.6km
消費カロリー 448kcal

 「なんだ今日はあんまり働いていないね」と思った読者に少し言い訳をしておこう。昨日も書いたように徳島のお遍路の前半戦は10番切幡寺(きりはたじ)までは吉野川左岸(下流に向かって)の山裾をさすらい、徳島平野を横断して右岸の山裾にある11番藤井寺(ふじいでら)を打ち、その余勢をかって一気に12番焼山寺(しょうさんじ)まで駆け上がるというルート設定である。
 焼山寺の標高は700m、藤井寺の標高が40m。藤井寺→焼山寺の12.9kmで660mの標高差を詰めなければならない。四国霊場中屈指の「へんろころがし」の難所なんである。
 そのためには、夜明けを待ってすぐ藤井寺裏手の遍路道に取り付き、5〜6時間をかけて焼山寺山(標高938m)の8合目あたりにある焼山寺に至り、その足でバス停のある山向こうの神山町鍋岩まで下るというのが正攻法だ。
 前日に切幡寺までしか刻めてない我々である。まずは徳島平野を北から南に横断して藤井寺を打ち、そのあとで「へんろころがし」の山道に取り組むという順序になる。切幡寺→藤井寺間の10kmに加えて「へんろころがし」の13kmは1日ではさすがに荷が重い、いや自殺行為である。
 「1日に20kmまでルール」を破るし、仮に歩けても原稿を書く時間がなくなる。あっ、それから暗くなれば阿波のイノシシも怖い(笑い)。結局、本日は藤井寺までとし、明日早朝から「へんろころがし攻略」に取り掛かることになったのである。幸いにも天気予報、明日の徳島地方は晴れである。
 以上のような事情があって、本日の歩きは徳島平野を北から南へ横断して終了である。打つべき札所は11番藤井寺の1カ所のみ。昨日と一昨日の2日間で計10箇所の寺を打ち、多少くたびれていた(黒ちゃんの頭が。処理しなければいけない情報が多すぎて)ので、ちょうどいい中休みである。いや、大事な試合の前のウオーミングアップと言った方が世間体がいいかもしれない(なんのこっちゃ)。

 切幡寺の参道入り口をスタートしたのが7時20分。真っ平らな農道をのんびり歩いて吉野川の左岸に到着したのが8時少し前だった。ここから遍路道は吉野川が作った広大な中洲・善入寺島(ぜんにゅうじとう)を横切って右岸にたどり着くよう付けられている。
 ちなみに善入寺島は吉野川河口から約30kmの地点に位置し、広さは約500ha、川の中の無人島としては日本最大である。島の真ん中に阿波市(左岸、切幡寺側)と吉野川市(右岸、藤井寺側)の境界があり、2本の「潜水橋」が架けられている。
 黒ちゃんは前にビーパルの取材で善入寺島に来たことがある。「ここには潜水橋があるんだよ」と竹内記者に教えると、「えええ?潜水?地下道かなんかになっているんですか?」と目を丸くして驚く。
 驚いたのは黒ちゃんの方だ。潜水橋を高知では沈下橋と呼ぶ。徳島では潜水橋、高知では沈下橋なんである。「新聞記者って意外とものを知らないんだね」と茶化すと、竹内記者はバツの悪そうな表情をした。そういえば昨日も火の見やぐらを見て「物見台ですかね。ずいぶん細くて高いなあ」なんてボケをかましていたっけ(笑い)。どうせボケるなら「ずいぶんスリムな津波避難タワーですね」の方がウケると思うけどね。

 11番札所・藤井寺は背後に深い山を背負う小さな寺だった。山門も伽藍も質素な作りで黒ちゃんの好みのタイプ。嬉しかったのが弘法大師作と伝わる御本尊、四国霊場中最古(平安末期)の薬師如来坐像を拝することができたこと。インターネットで調べると榧(かや)の一木造りの秘仏で通常は公開されていないとある。何かの事情で拝観できたのだろうがラッキーである。
 この寺は不動明王も白滝弁財天もお顔を拝することができる。寺の配慮であるとすれば素敵なことである。

吉野川に掛かる潜水橋を渡りながら一句
<潜水橋 地下道ですかと 連れが問い>

黒笹慈幾


今日のスタートはこの阿波市切畑の十字路から。


歩いてきた遍路道を振り返ると、後方の山の中腹に塔が見える。昨日打った切幡寺の多宝塔である。


吉野川の左岸の土手を越えて善入寺島方面に延びる遍路道。はるか向こうに見えるシルエットは焼山寺山の稜線か。


善入寺島の広大な中州に拓かれた畑地。何本もまっすぐに伸びる畝は北海道の畑を思わせる。そういえば昔、新天地を求めて善入寺島の農民が集団で仁木町に入植した歴史があるという。


早朝遍路の影はこんなに長い。


善入寺島と吉野川市をつなぐ潜水橋。


吉野川を渡り終えた土手で小休止。日差しは暖かいが。風は冷たい。


藤井寺への道しるべ。


11番札所・藤井寺の本堂。御本尊である平安末期の薬師如来座像を安置する。


藤井寺の裏手に恐怖の「遍路ころがし地獄」への入口がある。明日はここからのスタートだ。


今日は早めに歩きを切り上げて、徳島駅ビルに入っている徳島ラーメンの店でランチ。


夜遍路で見つけたモダン割烹の店「新(あらた)」の焼き蓮根と焼き枝豆。素材の甘さが際立つ見事な手際。


同じく「新」の穴子の押し寿司。口の中でトロトロと溶ける煮穴子の食感と、上品な酢飯のマッチングがお見事。


松茸の天ぷら。松林育ちの秋の香りが口中にふわりと広がる。


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