Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

91日目「うっかりもここまでくれば横綱級? 遍路地図を失くしちゃった」(2015年9月27日)

歩数 23416歩
距離 14km
消費カロリー 800kcal

 本日の最終到達地点、JR高徳線讃岐相生(あいおい)駅のベンチで明日の行程を確認したときには確かにあった。遍路地図がである。それがホテルに帰ってみるとどこを探してもないのである。ウエストポーチの大きなポケットの中に突っ込んでいたのだが、ファスナーを閉めずに電車に乗ったので、車内か駅で落とした可能性が高い。「万事休す、うっかりここに極まれり」である。
 2日前に竹内記者が「ことでん」瓦町駅に折りたたみ傘を置き忘れたのを笑った黒ちゃんだったが、これで人のことは笑えなくなった。お遍路さんが遍路地図を失くすなんて、水泳選手が水泳パンツを、釣り師が釣り竿を忘れるに等しい、恥ずかしいことである。
 幸いにも明日で失くした地図を卒業して次の新しい地図に移るところだったので、傷口はやや浅いのだが、黒ちゃんの心の傷口はヒリヒリ痛む。明日は竹内記者に頭を下げて地図を見せてもらうことになる。悔しいなあ。
 そういえば、昨日も道を間違えるうっかり事件があったばかりである。中締めの88番を打ち終えて、少し緊張感が足りなくなってきているのかもしれない。気をつけねば。

 前日の最終到達地点、東かがわ市入野山の三宝寺までタクシーで戻り、本日の歩きをスタートしたのは7時15分だった。88番札所・大窪寺から1番札所・霊山寺に向かう「お礼参り」の遍路道は、国道377号→国道318号→国道11号と海岸に出て進むのが正式ルートだが、我々は山寄りの県道40号→「四国のみち」経由で讃岐相生駅に至るショートカットルートを選んだ。
 近道の代償として多少のアップダウンを覚悟しなければいけないが、ひなびた初秋の里山風景を愛でながらのんびり歩きたかったからだ。

 香川県の東の端に位置する東かがわ市に入ってから、畑に植えられている作物の顔ぶれが明らかに変わった。まずはサトウキビだ。サトウキビというと沖縄のものというイメージがあるが、讃岐地方はサトウキビを原料にして作る伝統甘味「讃岐和三盆糖(わさんぼんとう)」の産地なのである。
 じつは和三盆には、お遍路にまつわるエピソードがある。四国遍路の途中で急病にかかって苦しんでいた奄美大島出身の関良介という男を医者の向山周慶(さきやましゅうけい)が助けたところ、恩義を感じた良介が死罪を覚悟で国禁のサトウキビの苗を持ち出し周慶のもとへ届け、それがきっかけでサトウキビが讃岐の地に根付いたというのである。
 周慶は江戸時代中期〜後期に生きた医師で、大内郡湊村(現在の東かがわ市湊)出身。五代高松藩主・松平頼恭(よりたか)の命を受けて砂糖作りの研究を続けていたのである。讃岐和三盆誕生の恩人二人を顕彰するため、関良介と向山周慶の一文字づつをとった向良神社が地元の白鳥(しろとり)町と高松市にあるという。

 アスパラガスも目立つ。ハウスの中いっぱいに、こんもりとした緑のアスパラガスが植えられている。根元に黒いビニールカバーが掛けられているのは、白アスパラに違いない。JA香川県のサイトを覗いてみると「クリーミーな歯触りと独特の風味が魅力のホワイトアスパラガスを香川独自の栽培技術で生産している」とある。「さぬきのめざめ」という名がつく品種らしい。黒ちゃんとしてはもう少し生ビールに似合う系のネーミングの方がいいと思いますけど。余計なお世話ですよね(笑い)

 和三盆、ホワイトアスパラと、美味しいものばかりで頭がいっぱいになりながら歩いていると、突然、目の前の農道をよちよちと横切る小さな動物がいる。「最初は蟹かなんかだと思いましたよ」と竹内記者はいうが、イシガメだ。卵から飼育経験のある黒ちゃんの見立てでは、生後6か月くらいの子どもである。何かの理由で田んぼの水路から迷い出てきたようだ。
 イシガメ(正式名ニホンイシガメ)は日本の固有種で、最近は圃場整備や外来種の侵入で本来の住処を追われてその数を減らしている。小さいうちはゼニガメと呼ばれ、最近はペットショップで高価で売られている。
 普段なら持ち帰って我が家で飼うところであるが、ただいまお遍路中の身である。潔くあきらめ、クルマにひかれぬよう居心地のよさそうな水路に戻したのだが、まさかお遍路の途中でイシガメに遭遇するとは…。亀は古来より縁起の良い動物とされる。これから何か良いことが待っているかもしれない。楽しみに待っていようっと。

 イシガメを拾い、遍路地図を失くした1日をふり返って一句
 <ゆっくりと 先を急がず 亀へんろ>

黒笹慈幾


東かがわ市与田山の国道沿いに「空ちゃん田んぼ」という施設があった。高い足場の上から田んぼを見せてくれる。高知の桂浜にある「龍馬に大接近」と同じだ。


空ちゃん田んぼの足場の上はこんな感じ。地元の小学生たちの作品らしく、学校机と椅子のセットがかわいい。


空ちゃん田んぼを上から見たところ。空ちゃんは弘法大師空海の愛称だったのだ。黒い線に見えるのは古代米の黒米を植えた場所。


正式のお遍路道から離れ、県道40号線経由で「四国のみち」を歩くことにする。讃岐相生駅までのショートカット・ルートである。


ハウスの中いっぱいに成長したアスパラガス。


地面から細いグリーンアスパラがひょろりと1本、顔を出していた。


「四国のみち」が高松道をくぐったあたりで急に視界が開け、引田の海が遠くに見えてきた。


大きなため池に、釣り禁止のこんな大きな看板。黒ちゃんが伸ばしているのは竿ではありません。トレッキングポールです。


農道をノンビリ歩いていて黒ちゃんに拾われたイシガメの子ども。手のひらに乗せてじっとしているとゾロリと頭を出した。かわい過ぎるぞ。


本日の歩きはJR高徳線の讃岐相生駅で終了。もちろん無人駅です。


東かがわ市三本松のホテルそばのコインランドリーで2日分の汚れ物の洗濯。洗い終わるまでリアルゴールドを飲みながらまったりした時間を楽しむ。


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