Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

89日目「強雨の中、女体山越え大窪寺ルートあきらめたら栗のお接待が…」(2015年9月25日)

歩数 19475歩
距離 11.6km
消費カロリー 590kcal

 朝5時にセットしてあったアイホンのアラームで起こされた。カーテンを開け、まだ明けきらぬ夜を透かして窓の外をみると激しい雨である。台風が刺激した前線の影響である。今日のお楽しみに残しておいた「女体山を越えて88番札所・大窪寺を打つ」という色っぽい計画に黄色信号点滅した。
 この雨でも登りはなんとかなるが、大窪寺までの急傾斜の下りの足元がスリップする危険がある。おへんろ交流サロンで階段の段差も大きいと聞いた。以前、雲辺寺への登山道の階段の段差が大きすぎると「四国のみち」にこのコラムでクレームをつけたことがあるが、今回の女体山ルートもその「四国のみち」だ、大体想像がつくのである。大きな段差の下りは大柄で足の長い黒ちゃんならまだしも、初日に膝を傷めた小柄の竹内記者には酷だろう(イヒヒ)。

 朝6時出発の予定を8時まで延ばして様子見をしたのだが、空模様に変化はない。とりあえず現地まで行ってそこで判断しようということになり、8時25分瓦町駅発の「ことでん」長尾行きに乗り込んだ。いきなり駅構内のベンチに傘を忘れるという竹内記者の「うっかり事件」で車中は盛り上がり、長尾駅前のタクシーで「道の駅ながお」に着いたのは9時半だった。
 初志貫徹し、しっとり濡れた女体山に分け入ってぬかるみを越えて大窪寺に至るルートをとるか、安全策の旧へんろ道コースをとるか。最終的にタクシーの運転手さんの「女体山は今日のように暗い日はイノシシが出るのでやめたほうがいい」という助言を受けて後者の道を選んだ。うっふんな女体山ルート探索はいつかイノシシの心配のない日にやってみようっと。

 しょぼ降る雨の中、傘をさして眺望のきかない峠をふたつ越え、旧へんろ道をたどって大窪寺まであと3kmという地点に差しかかるあたりだった。ここまで音無しだったお大師さまのサプライズが炸裂した。
 コンクリートの路面にたくさんのイガグリが散乱している。わずかに口を開けた隙間からは茶色に光る大きな実がのぞいている。先ほどから急に強くなった雨まじりの風に振り落とされたばかりのようだ。早すぎれば誰か他の人に拾われていただろう栗が、我々の通過を待ちかねたかのように降ってくるとは…。なんということだろう。今回はお付き合いできなかった女体山からの「栗のお接待」に違いない。「次はぜったい来てね、うっふん」と我々を誘ってるんである。当然「はいっ、必ず来ます!」と返事しておいた。

 それから大窪寺までの道すがら、あちこちで栗を拾い拾いしながら歩いているうちにいつの間にか大窪寺の門前に着いていた。結願の寺に栗を拾いながらたどり着いたノーテンキな歩き遍路さんは多分いないだろうな。
 結願の寺、四国霊場第88番札所・大窪寺(おおくぼじ)の構えはさすがに立派で風格があった。元禄時代に書かれた「大窪蜜寺記」によると、養老元年(717)元正天皇の御世に行基菩薩が峰を開き、その後弘仁6年(815)に弘法大師が薬師如来を刻んで本尊とし、寺を建立したとある。
 ここのご本尊の薬師如来は変わっていて、薬壷の代わりに法螺貝を持っていると聞いていたので、しっかり見届けようとしたが遠くて確認できなかった。この法螺貝で一切衆生の心と体の厄難諸病を吹き払ってくれるんだという。昨日訪ねた長尾寺の奥の院・玉泉寺のご住職が「法螺貝吹きのお接待」をしてくれたのは、そういう意味だったのかと、このとき初めて気づいたのだった。

 女体山にいただいたお接待の栗だが、さぬき市多和にある結願の湯宿「竹屋敷」に持ち込んで湯がいてもらった。さて、そのお味は…。秘密にしておきます。

 晩酌にうっふん栗をつまみながらの一句
 <菅笠に 栗降る秋や 結願寺>

黒笹慈幾


前川ダムサイトの「道の駅ながお」から雨の中、旧へんろ道を歩く。


雨に濡れた田んぼの畦道を真っ赤な彼岸花の帯がお花畑に変えていた。


雨のアスファルト道路の上でこんな感じで栗のお接待が待っていた。


手のひらと比べると大きさがわかる。このサイズならスーパーで売られるときにもいい値がつく。


県道3号線多和小学校前の交差点で国道377号線に針路をとる。大窪寺まではあと1時間くらいである。


大窪寺門前の「野田屋」の名物メニュー、アツアツの「打ちこみうどん」を冷ましているところ。じつは竹内記者、猫舌なんです。甘口の味噌味が絶品です。


野田屋の店頭で客を呼ぶ愉快な「うどん地蔵」?。


黒ちゃんたちには、大窪寺はまだまだ終着駅ではありません。「単なる通過点です」なんちゃって、イチローみたいでキザですかね。


大窪寺の本堂。どっしりとした構えの伽藍だ。薬壷の代わりに法螺貝を手のひらに乗せたご本尊薬師如来がこの中に収まっている。


いままでたくさんの寺で同じ弘法大師像を見たが、背後に女体山を従えた大窪寺のものは存在感が違う。さすがお遍路さんの終着駅である。


結願を果たしたお遍路さんたちが奉納した金剛杖がたくさん飾られていた。


大窪寺の墨書と朱印。普通のお遍路さんはこれで結願だが、黒ちゃんの納経帳は1番から30番まで真っ白。結願はまだまだ先です。


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