Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

85日目「赤い矢印を探せ!屋島寺までの高松市内迷路を楽しむ」(2015年8月18日)

歩数  27863歩
距離  16.7km
消費カロリー  832kcall

 いよいよ8月のお遍路ードも今日が最終日である。灼熱地獄遍路、うどん遍路、お盆遍路、早起き昼飯前遍路、始発電車遍路、タクシー始発遍路、うどん腹バテバテ遍路などなどその都度、苦しまぎれの遍路熟語を乱発して読者を煙にまきながら、なんとか1000km越えを達成した月であった。ただ最終日に来て、本日の遍路をなんと表現したらよいのか迷っている黒ちゃんがいる。

 今日のルートは高松市内の南にある83番札所・一宮寺から、北東にある84番札所・屋島寺までの16kmだ。遍路道は高松の町をほぼ斜めに縦断するカタチになる。北を上にした地図では左下から右上に逆袈裟(けさ)懸けに歩いていく感じである。
 市内に通じる遍路道は交通量の多い幹線道路や人の往来の激しい道を避け、農道や歴史ある古道、新興住宅街に新しくつけられた道などを切り貼りして(失礼!)付けられている。土地勘のないお遍路さんにとっては、まるで迷路に誘い込まれたような気分になる。
 こんなとき、5万分の1の地形図をもとに作られている遍路地図は縮尺が大きすぎて役に立たない。唯一頼りになるのが「お遍路さんこっち」のあの「赤い矢印シール」である。
 一宮町から三名町、太田上町。高速の下をくぐって伏石町から松縄町。琴電の歩道踏切を渡って木太町あたりまで。尺取り虫遍路隊は見知らぬ町の路地を彷徨った。細道の分岐に遭遇するたびキョロキョロ落ち着きなく周囲を見回し、それを見つけると「よし!こっちだ!」などと指差し確認する挙動不審の二人組である。よく警察に通報されなかったものである(笑い)。
「赤い矢印シール」はお遍路さんの目に付きやすいところに貼られている。ガードレール、カーブミラーのポール、電柱などのケースが多いが、時には民家の塀に貼られていることもあるので油断できない。しかも突然行方不明になる癖がある。今までそこにいたのに、急に見えなくなる。「どこかの角で見逃したか」と不安になって、引き返してもう一度確認したり、歩きながら常に目の隅で「赤い矢印シール」を探す癖がつく。歩き遍路の職業病だ。
 目的地が決まっていて地図も手元にあるのだから矢印なんか無視して歩けばいいようなものだが、それでは矢印シールを貼った人に負けたみたいで面白くない。なんとか最後まで一緒に屋島寺にゴールインしたいのである。

 朝6時に昨日の最終地点「ジョイフル三名町」をスタート。「赤い矢印」に翻弄されながらも屋島の麓に到着したのは10時を少し回っていた。途中のコンビニ休憩も含め、4時間以上「赤い矢印」を追いかけているうちに13kmを歩いていたのだ。「あー面白かった!」と私、「夢中になりましたよね」と竹内記者。誰だか知りませんが、我々のお遍路の最終日をメチャ盛り上げてくれたシールの考案者に感謝申し上げる。まさか、お大師さまじゃあありませんよね。
 ということで本日の遍路を「高松市内迷路遍路」と名付けますが、異存のある方はいませんよね(なんのこっちゃ)。

 屋島寺の手前1.5kmあたりから突然の急勾配が始まった。「登り急勾配21%」の交通標識。きれいに舗装された広い歩行者専用の参道である。21%って言われてもピンとこないが、ここまで13kmを赤い矢印に翻弄されながら(笑い)歩いてきたカラダにはズンとこたえる。
 ものすごい登りである。それでも一歩一歩、8月最後の歩きを刻んで40分あまり、ついに四国霊場第84番札所・屋島寺の山門前に立った。屋島寺は標高293メートルの屋島の頂にある。
 中国から渡来した鑑真(がんじん)和尚がこの地を選び、その弟子の恵雲律師という人が僧院を構えて「屋島寺」と名付けたという。そういえば本堂の伽藍のデザインがなんとなく中国風に見える。御本尊は弘法大師が刻んだ十一面千手観世音菩薩である。

 参拝と納経を終え、屋島の展望台までのんびり歩いた。秋を感じさせる爽やかな「お大師さま風」が頬をかすめてゆく。眼下には高松市街、遠く五色台の山々も見える。
 一週間前、あの山のはるか向こう、我拝師(がはいし)山麓の出釈迦寺から歩き始め、讃岐平野を突っ切り、うどん(ときにはところてん)腹を抱えながら五色台を越え、高松市街をジグザクに切り裂いて、今ここに我々はいる。
 1週間の早朝昼飯前遍路で11の寺を打つ、効率の良い旅であった。88番札所・大窪寺まで残すは4つの寺だけである。

高松市内迷路遍路を終えて一句
 〈人生の 赤い矢印 どこへ行く〉

黒笹慈幾


歩き遍路の頼れる道案内人「赤い矢印」。デザインはさまざまだ。


赤い矢印に翻弄されながらようやく屋島の麓までたどり着いた。


屋島寺までの最後の1.5km、急勾配の上り坂が待っていた。やれやれである。


屋島寺の登り口で出会った野仏。朱色の花がよく似合う。


屋島寺の参道。急勾配だがきれいに手入れされたコンクリート道で歩きやすい。


仁王門が切り取った屋島寺の境内と本堂。


一見すると中国の寺院のようなエキゾチックなデザインの屋島寺本堂。


屋島の展望台からは高松市街と遠く五色台の山々が望める。


「赤い矢印」を追いかけてお疲れの竹内記者。ただいま昼寝遍路中であります。


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