Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

78日目「うどん粉のエサ通用せず。うどん県香川の小魚は手強いぞ」(2015年7月24日)

歩数 26602歩
距離 18.6km
消費カロリー 822kcal

 今朝もホテル前の「ジョイフル」で6時に待ち合わせた。竹内記者はカレー、黒ちゃんは野菜チャンポンのモーニングである。竹内記者は昨日も同じカレーだった。イチローじゃあるまいし、よく飽きないなあと思う。それにカロリーオーバーで身体にもよくないよ。余計なお世話かもしれないけど。

 夜明け前にかなり激しい雨が降っていたようで、ホテル前の道路はビショビショである。いよいよ我々の「雨なし遍路神話」も今日で終わりかと思ったら、朝ごはんを食べ終わるころには上がっていた。それでも観音寺周辺の空は鉛色の雲に覆われているので、ザックにはレインカバーをかけ、折りたたみ傘はいつでも取り出せるようザックのポケットに差し込んで出発だ。
 今日は昨日打ち終えた70番札所・本山寺からのスタート。誰もいない境内で五重塔と本堂をゆっくり愛でてから、国道11号線を北上する遍路道に乗る。高松道さぬき豊中ICの入り口あたりまでは、朝のラッシュアワーの車の群れを横目に見ながらの味気ない歩きだったが、住宅街を抜ける遍路路に入ってからは結構楽しくなった。
 ポッコリまあるい山とため池の組み合わせは、いかにも讃岐の風景である。そして、我々の行く手に形や大きさや水面の様子がひとつひとつ違う「ため池」が次から次に現れては消える。
 この時期はアオコが繁茂していて、ため池の水質はかなり悪そう。が、その水面の表情は変化に富んでいて面白い。鏡のように整った顔もあれば、ヒシがぎっしり密生して荒れた肌もある。ピンクの睡蓮の花で美しく化粧した顔もある。

 4つ目のため池だったと思う。水際で体調2,3cmの小魚が真っ黒く群れて水面でなにやら大騒ぎをしているのを発見した。ときおり亀も緑色に濁った水の中からポカリと顔を出したりしている。魚はなんだろう。亀はミシシッピかクサガメだろうが、いったいどっちだろう。
 黒ちゃんは我慢できなくなり「先を急ぎたい顔」をしている竹内記者に「15分だけお願い!」と拝み倒して、持参した振り出し式の小ブナ竿(2.4m)をザックから取り出した。用意してきたうどん粉で小さな団子を練り、それをハリに刺し、玉ウキを連ねた「しもり仕掛け」(小鮒釣りのシステム)を投入した。
 この段階で黒ちゃんの頭の中では、1.すぐにピクピクと玉ウキが沈み込む→2.すかさず竿をあおる→3.ビビビと竿先が曲がる→4.水面を割って小魚が飛び出す→5.竹内記者の歓声があがる、という5つの連続したシナリオが展開していたのだが…。
 何度やっても玉ウキはピクリとも動かず、黒ちゃんの面目は丸潰れとなった。「香川の魚はうどん粉にはうるさいんですよ。なんたってうどん県ですから」とど素人の竹内記者にからかわれる始末である。悔しいなあ。
 それにしてもあの水面を騒がせていた小魚は何なのか確かめたかった。たぶん外来魚のブラックバスと一緒に日本に侵入してきたブルーギルではないかと思うが、手の平に乗せてみないと確かめようがない。次はうどん粉以外のエサで試してみるつもりである。

 ため池フィッシング編はこれくらいにして先を急ごう。71番札所の弥谷(いやだに)寺の参道口に着いたのは午前11時20分、歩き始めてから3時間20分ほどが経過していた。途中、釣れない釣りに30分費やしているので(笑い)、正味3時間弱である。ガイドブックでは本山寺と弥谷寺間は12kmと書かれているからまあこんなものだろう。
 弥谷寺は歩き遍路には厳しい山寺だった。参道入り口まで結構な勾配の遍路道を30分、入り口の仁王門から大師堂まで368段、さらに本堂までは170段の石段登りを課すのである。
 弥谷寺は弘法大師が「真魚(まお)」と呼ばれた幼少期に、今も大師堂の奥に残されている「獅子の岩屋」で学問に励んだことで「弘法大師ご学問の里」と呼ばれている。弘法大師との縁が深い寺なのである。本堂に比べて大師堂の方が圧倒的に立派なのがその証拠である。
 御本尊は千手観音菩薩だが、本堂に登る途中の岩壁に立派な阿弥陀三尊像の磨崖仏が彫られていて見応えがある。

 片道538段、往復で1076段の石段を登って降りて弥谷寺を打ち終わったのは12時半。当初の計画ではここで「打ち止め」だったが、まだ多少時間に余裕があるし、次の72番札所・曼荼羅寺(まんだらじ)は4km弱の至近距離にある。しかも竹内記者の「新たな夜遍路ルート開拓」の強い要請もあり(笑い)、今日の宿は丸亀市内のシティホテルにしてある。1歩でも丸亀に近づいておいた方がよかろうということで、思い切って曼荼羅寺まで歩いて本日の打ち止めとした。
 おおっと、忘れていた。しっかり数えていたのだが、今日1日で通過した「ため池」の総数はなんと13もあった。讃岐の遍路は予想通り「ため池ホッピング遍路」なのであった。

 香川の小魚に馬鹿にされて一句
 〈讃岐では 魚も人も うどん通〉

 黒笹慈幾


朝のラッシュアワーの国道11号線。雨は落ちてきそうだかなかなか落ちてこない。


ため池と特徴のある山の形。讃岐平野のお遍路はこの風景の中を歩く。


民家の庭先で、まだ未熟だかいい匂いを振りまいているイチジクの実。


弥谷寺の手前のビニールハウス。ランチュウを飼っているひとかいたので中に入れていただいた。背ビレがなくてメチャかわいい。


これはランチュウのオスのほう。仕草とフォルムがフレンチブルドッグみたいで超かわいい。


急な勾配の坂道を30分、ようやく弥谷寺が近づいてきた。


弥谷寺の参道。延々と続く石段を登りつめた奥に本堂や大師堂がある。


いちばん奥手、高い場所にある本堂。背後に岩山を背負うように建てられているのは45番札所の岩屋寺に似ている。御本尊は千手観音菩薩。


弥谷寺の本堂の直下の岩盤に彫られた阿弥陀三尊像の磨崖仏。素朴だか見応えがあった。


次の札所の72番曼荼羅寺までは4km弱なので急遽「打ってしまおう」ということになった。


いかにも弘法大師空海が生まれた讃岐らしい。市民バス「空海号」に一度乗ってみたいな。


ついでに「打って」しまって申し訳なかった、72番札所の曼荼羅寺の山門。明日は最初にもう一度お参りしていこう。御本尊は大日如来である。


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