Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

77日目「讃岐路は、ため池めぐり遍路になりそうな予感」(2015年7月23日)

歩数 25995歩
距離 18.1km
消費カロリー 833kcal

 我々が泊まっている観音市内のビジネスホテルの真ん前に「ジョイフル」がある。ジョイフルは大分県に本社があり、九州を中心にお店を持つファミリーレストランだが、四国にもかなり進出している。24時間営業、冷暖房完備、ドリンクバーあり、と3拍子揃っている上に、良心的な低価格、何時間いても追い出されないなど、雨の日も風の日も雪の日も灼熱地獄の日も休まず、夕方までに次の日の原稿を書く責任を背負った尺取り虫遍路隊の「オアシス」と言っていい。
 今日は朝6時に竹内記者と「ジョイフル」で待ち合わせだ。ホテルの朝食が7時からなのでどうしても出発が遅くなる。我々の真夏の「灼熱地獄遍路」は暑さの厳しい時間帯を避け、早朝出発、昼過ぎ終了が基本である。考えてみれば農家のおじさんの労働スタイルとおんなじだ。
 歩き終えてから遅めのランチをとり、宿舎に帰ってシャワーを浴び、夕方までに原稿を書き終え、身も心も仕事もさっぱりしてから夜遍路に繰り出すという日課なのである。

 昨日打ち終えた67番札所・大興寺(だいこうじ)の門前を午前7時45分にスタート。本日目指すは68番神恵院(じんねいん)、69番観音寺、70番本山寺(もとやまじ)の3つの札所である。距離にして20km弱あるが、昨日と違い平地の歩きなのでなんとかなるだろう。幸いにも雨は持ちそうだ。四国の他の地域や九州では激しい雨に見舞われているらしいが、観音寺周辺は大丈夫である。
 「さすがに瀬戸内式気候だよね」と、竹内記者が小学校の社会の教科書みたいな面白味のないコメントを出す。黒ちゃんは「これもお大師さまのおかげですよ」と、何度もお四国を回っている先達さんのようなコメントで混ぜっ返す。
 それにしても6月の遍路は雨なし、7月の遍路もここまで雨なしである。尺取り虫遍路隊はお大師さまに「えこひいき」されているとしか思えない。ありがたいことである。

 大興寺からしばらくは、のどかな田園地帯を抜ける遍路道である。農道に止まっている軽トラはすべて香川ナンバー、いよいよ讃岐路のお遍路が始まったという実感が湧いてくる。ツクツクボウシが盛んに鳴いている。黒ちゃんには「コウボウダイシコウボウダイシ」と聞こえるが(なんちゃって)。
 途中、小さなため池が次々に現れる。香川県には約16000のため池があり、数では全国3位、密集度ではナンバーワンだそうである。どうやら讃岐のお遍路は「ため池めぐり遍路」になりそうである。小鮒やタナゴと遊べそうな細い用水路もたくさんあるので楽しみである。

 途中のコンビニで「アイスクリーム&コーヒーブレイク」15分をはさみ、トータル2時間半で68番札所・神恵院に到着。と思ったら仁王門には「四国第六十八・六十九番霊場七宝山観音寺神恵院」と書いてある。実はここ、2つの札所が一か所に同居しているのである。
 仁王門を入った境内の左のスペースに神恵院の本堂と大師堂が、右に観音寺の大師堂、本堂、薬師堂が配されている。札所にも2世帯住宅があるんですな(笑い)。両寺とも法相宗の高僧・日証上人が大宝3年(703)に開いたと縁起に書かれてある。明治の神仏分離の時代などを経ていろいろな事情で同居することになったようだ。
 愉快なのは納経所が一か所しかなくて、そこで2つのお寺の墨書と朱印をもらうこと。納経所に詰めている女性が、神恵院と観音寺の一人二役で(笑い)納経帳の2ページ分をまとめて面倒見ちゃうのである。それでも納経代は300円×2の600円、割引き一切なし。黒ちゃんも竹内記者も多少釈然としなかったが、「なぜ割引はないんですか?」と聞く勇気がなくて、おとなしく次の札所に向かったのであります。
 おっと、うっかりしていた。神恵院の御本尊は阿弥陀如来、観音寺は聖観世音菩薩、さすがにこちらは一人二役とはいかなかったのでしょう(笑い)。

 本山寺までは、クルマのほとんど通らない財田川左岸の土手の上を早足で歩いた。途中で妙になつかしい気分になったのは、黒ちゃんが40年以上住んでいた東京の多摩川中流域、調布や府中あたりの風景によく似ていたからだ。財田川は水量も河川敷の草の匂いも、ついでに水の汚れ具合までも(笑い)多摩川にそっくりだった。
 約4.5kmの距離を1時間。財田川に架かる橋を4本、JRの鉄橋を1か所やり過ごしたあたりで対岸にキリッとした姿の五重塔が見えてきた。四国霊場第70番札所・本山寺である。本山寺は正式名称を七宝山持宝院本山寺といい、空海が開祖とされる。鎌倉時代に再建された本堂は国宝、ご本尊は馬頭観音、真言は「おんあみりとどはんば うん はった そわか」。

 讃岐ならではの「ため池めぐり遍路」を終えて一句
 〈ため池や 亀が飛び込む 水の音〉
 お粗末でございました。

 黒笹慈幾


本日のスタートは67番札所大興寺の門前から。寺の周りはこのようにのどかな田園風景が広がる。


黒ちゃんはため池とため池を繋ぐ水路が気になってしょうがない。絶対に小鮒かタナゴがいるはず。


香川県に入ってから札所を案内する大理石の石柱が増えたような気がする。札所密集度が高いからだろうか。


四国88箇所霊場のなかで、二世帯同居の札所は68番と69番のここだけ。


神恵院と観音寺が共有する境内にある案内板。何がなんだか、頭がクラクラしてくる。


神恵院の本堂につながるモダンなアプローチ。この奥に本堂がある。


こちらは観音寺の本堂。御本尊の聖観音菩薩が中に収まる。


観音寺を打ったあとは財田川の土手の道をひたすら上流へ。およそ1時間で本山寺着。


財田川の鉄橋を渡るカラフルボディの予讃線の特急列車。


財田川の向こうに今日のゴールである本山寺の五重塔が見えてきた。


本山寺の五重塔。四国霊場で五重塔を持つのは竹林寺・志度寺・善通寺とこの本山寺の4か所だけという。


本山寺の猫住職?ではありません(笑い)。多分本山寺の飼い猫か、ご近所の檀家の猫だろう。伽藍の床の上でのんびり日光浴しているところをパチリ。大物らしくカメラをまったく意識していない。ひょっとしてお大師さまかも。


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