Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

74日目「かぼちゃ畑に傘忘れ、往復3.5km45分のうっかり料を支払う」(2015年7月20日)

歩数 20352歩
距離 16.6km
消費カロリー 779kcal

 四国中央市、JR伊予三島駅前のビジネスホテルで目が覚めた。意外にも窓の外は雨である。7月は「梅雨明け遍路」のつもりだったのに、これじゃ「梅雨のなごり遍路」だ。
 昨晩の夜遍路の話である。焼き肉店「天領」のカウンターで生ビールを飲みながら竹内記者が「四国中央市って嫌な名前だよね。俺たちは四国の中央だぞという意識が気に入らない」と言い出した。確かに。この流れで行くと、我が愛する土佐清水市や室戸市などは四国辺境市ということになる。
 「まっこと失礼極まりない。上から目線そのものだ」と黒ちゃんが応じると「日本3大珍市名のひとつとかいうけれど、珍名度NO.1はゼッタイここだね」と竹内記者が煽り返す。(ちなみに日本3大珍市名の残り2つは、山梨県の南アルプス市と埼玉県のさいたま市)
 そして最後に「同じ四国に暮らす他地域の人たちへの気配りがなさすぎる」と、黒ちゃんと竹内記者の義憤が一致したのであった。四国中央市に暮らす人たちには何の罪もないのだが、ふたりともビールの勢いを借りて言いたい放題だった。四国中央市の皆さん、ごめんなさい。

 さて。今日の行程は、6月遍路の最終到達点だったJR予讃線・伊予寒川(さんがわ)駅から、四国霊場65番札所で標高430mのところにある三角寺までの14kmあまり。歩きの初日としては頃合いの距離と標高差である。
 霧雨の中、傘をさしたり畳んだりしながらゆっくり歩く。寒川駅をスタートして1時間余り、住宅街を抜ける遍路道は、中曽根町の入り口にある「へんろわかれ」と呼ばれる分岐で旧讃岐街道と別れる。川之江三島バイパスを横切り、新興住宅街を抜けて遠くに松山自動車道が見えてきたあたりでハッと気がついた。さっきまで左手にぶら下げていた折り畳み傘がない!
 慌てて記憶のテープを巻き戻してみる(表現が古い!)。えーとえーと、へんろわかれの分岐のすぐあと、石床大師堂で小休止をとったな。そのとき傘をたたんで、右手にトレッキングポール、左手に傘をぶら下げて30分くらい歩いてここまできたぞ。いや待て、途中でかぼちゃ畑でインスタグラムで写真をとってFB(フェイスブック)に投稿して…。「あっ、そのときたしか傘をかぼちゃ畑の畔においた!」

 竹内記者には先に行ってもらい、黒ちゃんは大急ぎでさっきのかぼちゃ畑までの道をとって返した。冷や汗と本当の汗の混合ダブルスである。傘は戻ったが「うっかり」の代償として時間にして45分、距離にして3.5kmの「余分な歩き」を払うことになった。ひょっとしてこれは、昨日の夜の四国中央市の悪口の罰かもしれない。お大師さま、ごめんなさい。
 竹内記者が昨日の新聞に書いていたが、じつは黒ちゃんは昨日も「うっかり」をやっている。高知駅で約束のバスよりも1本早いのに乗ってしまったのである。2日連続の「うっかり」となれば、さすがに黒ちゃんも気恥ずかしい。「うっかり世代ですから」などと居直ってる場合じゃない。大いに反省である。これからは何かしたあとは必ず後ろを振り返ることにする。とほほ。

 松山自動車道をくぐり、右手にお墓を見ながら舗装路を30分あまり歩くと、いよいよ遍路道は未舗装の山道になった。台風の大雨のあとでぬかるんでやや急な山道を4kmあまり歩くと、突然目の前に急な石段が現れた。
 白装束に身を包んだ超高齢のお遍路さんがふたり、金剛杖を突き、鈴をちりんちりんと鳴らしながらゆっくり急な石段を降りてくる。その背後には立派な山門がそびえているのが見える。第65番札所三角寺(さんかくじ)である。正式には由霊山(ゆれいざん)慈尊院(じそんいん)三角寺、愛媛県最後の札所が我々の目の前にあった。

 うっかり2連発のあと、愛媛県最後の札所を打ち終えて一句
〈傘忘れ かぼちゃ畑に 打ち戻り〉 

 黒笹慈幾


JR伊予寒川駅から歩き始めて1時間ほど、中曽根町にある石床大師堂は絶好の小休止スポット。


石床大師堂の賽銭箱の脇に座らせていただき、三角寺までのルートを確認中の黒ちゃん。この時までは確かに傘を持っていた。


梅雨の名残りの雨にしっとり濡れたかぼちゃ畑の向こうに、三角寺を抱く山並みが…。というシーンを撮った後、第2の「うっかり」事件が勃発。


松山自動車道の下をくぐる遍路道。頭上からはひっきりなしにクルマの走行音が降ってくる。


標高が430mある三角寺を目指す遍路道は、山裾に差し掛かると徐々に傾斜がきつくなる。


上柏町横尾の集落を抜けると突然視界が開け、眼下に緑の絨毯が現れた。少し編み目が粗い部分は里芋畑、細かいところは水田である。


三角寺への遍路道はどんどん傾斜がきつくなり、最後の3kmほどは未舗装の登山道になる。2日前の台風11号で道はかなり水分を含んでいる。


三角寺の駐車場にようやくたどり着き、リアルゴールドでリフレッシュ中の竹内記者。本当はオロナミン派なのだが調達できず。


三角寺の参道は、このようにかなりの段差があってしかも急な石段。


足元のおぼつかない高齢のお遍路さんが、一歩一歩慎重に参道の急な石段を降りてくる。


石段を登り詰めると立派な仁王門が待ち構えている。その真ん中に大きな鐘が。どうやら山門と鐘楼を兼ねているようだ。


三角寺の境内。鬱蒼とした木々に囲まれ、山寺らしい落ち着いた雰囲気。


三角寺の本堂。弘法大師が彫ったと伝えられる御本尊の十一面観音が納められている。


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