Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

72日目 「早朝出発の効果なし。1日30kmは見果てぬ夢だった」(2015年6月25日)

歩数 28145歩
距離 19.7km
消費カロリー 1059kcal

 「ポロロン、ポロロン、ポロロン」。やけにしつこい木琴の音で目が覚めた。木琴の音だと思ったのはアイフォンの目覚まし音で、朝5時ちょうどである。そうだ、今日はホテルの部屋に荷物を置いたまま空身で1時間後に出発の予定だった。
 じつは昨日の午後、黒ちゃんと竹内記者は新居浜市の国道11号線沿い、伊予銀行船木支店の前で力尽き、タクシーを呼んだのであった。三角寺まで30kmあまりを残しながらギブアップしたことで、6月中に愛媛県内の札所を打ち終えるという当初の計画はほぼ絶望的になっていた。
 残りはあと1日である。「1日20kmまでルール」の縛りの中で、30km先の65番札所・三角寺は不可能だ。しかし実際に歩く前から諦めるのはなんだか面白くない。そこで黒ちゃんが「一応、三角寺まで歩くつもりで出発して、行けるところまで行ってみるってのはどう?」という往生際の悪い(笑い)作戦を提案した。
 最初はあまり乗り気でなかった竹内記者も「空身にして、出発を早くして、朝食は途中でモーニングにして…」という黒ちゃんのしつこい提案についに折れ、ホテルの朝食を放棄して早朝6時の出発になったのである。
 ホテル近くの「すき家」でモーニング牛丼を食べてタクシーを呼び、昨日のギブアップ地点の伊予銀行船木支店に着いたのが6時30分。さあ、これから1日でどこまで歩けるか、尺取り虫遍路隊の意地と脚力が試される1日になる。
 ちなみに、歩き遍路さんの1日の平均歩行距離は30kmと言われている。だから遍路宿の間隔もおおむね30km刻みになっている。先達(せんだち)さん、つまり遍路のプロたちは1日で40km近く歩く人もいる。30kmであたふたしている尺取り虫遍路隊が、いかに軟弱なお遍路さんであるかがお分かりいただけると思う。

 西条市内から新居浜市、四国中央市を経て三角寺に向かう遍路道は、国道11号線と並行する風情のある旧街道・県道138号(讃岐街道)を使いながら東へと伸びている。讃岐街道は新居浜市船木でいったん11号線に吸収され、一緒に関ノ戸で峠を越えて四国中央市に入り、再び11号線と別れて静かな旧街道に戻る。
 我々は、この関ノ戸までの最初の登りでかなり体力を消耗した。大型トラックの排気ガスと騒音が凄まじい中をダラダラと30分以上歩かされたのだ。正直に告白するが、この時点で黒ちゃんと竹内記者は三角寺を諦めた。歴史ある旧街道の歩きを楽しむことに方針転換したのである。

 四国中央市土居町にある真言宗のお寺・延命寺(えんめいじ)までの歩きは楽しかった。路傍にはアジサイ、クチナシ、カラスウリ、キスゲなどなど季節の花々があふれ、畑では里芋が大きな葉を広げて雨を待っていた。途中でおばあちゃんに呼び止められてリポビタンDのお接待を受けたのも嬉しい出来事だった。
 延命寺は四国別格二十霊場第12番札所、弘法大師が四国巡礼の際に足の不自由な人を「千枚通しの霊符」で治したという伝説が残る寺である。そんな名刹の境内にある東屋で、ふたりして15分ほどプチ昼寝をしたのだが、これがものすごく気持ちよかった。ここまでのお遍路の疲れが一気に抜けた、いやそれだけでなく多少の延命効果もあったかもしれない(笑い)。「昼寝遍路」がこんなに楽しいとは知らなかった。これからもいろんなところでやってみようっと。

 結局、6月のお遍路はJR予讃線伊予寒川(さんがわ)駅にて打ち止めと相成った。駅に着いたのが12時ジャスト、正味5時間の歩きで、我々が稼いだ距離は19.7km。いくら早起きしても結果は変わらなかったということだ。黒ちゃんと竹内記者の尺取り虫遍路隊にお似合いの距離は1日20kmであることを、恥ずかしながら証明することになった最終日であった。とほほ。

 延命寺のプチ昼寝の夢の中で大師さまに会って一句
〈急がない 昼寝も修行の ひとつなり〉(お大師さま談)
黒笹慈幾

 6日間お付き合いいただいた黒ちゃんのお遍路ブログ「釣りときどきお遍路」日記は今日が最終日。ここまでのご愛読感謝です。7月のお遍路は中旬のスタートを予定しています。暑さを避けながら2つの山寺、三角寺と雲辺寺を訪ねる計画です。ご期待ください。


四国自然歩道と遍路道はかなりの部分が重なっている。これは我々が今いるところの概念図。高知市を出発して四国をちょうど半周したことがわかる。


クルマが通らないというだけでお遍路さんは癒される。歩き専用の遍路道が必要な理由である。


これは珍しい黒ちゃんと竹内記者のツーショット。「きけん」って言われても困るなあ。


カラスウリの花があちこちに咲いていた。よく見ると誰が考えたのか素晴らしい意匠である。お大師さまだったりして(笑い)。


新居浜から四国中央市に入って急にサトイモ畑が多くなってきた。葉っぱの真ん中に露じゃなかった、梅雨の落し物。


庭いじりのおばあちゃんに呼び止められてリボビタンDのお接待。ありがたいけど、できれば冷やしたやつをいただきたかったなあ(失礼)。


四国中央市土居町にある四国別格霊場の延命寺。御本尊は延命地蔵菩薩である。


延命寺の東屋でプチ昼寝中。お遍路の途中の昼寝ってこんなに気持ちいいとは。先を急がないお遍路だからこその楽しみだか、夢でお大師さまに会える特典あり(笑い)。


伊予土居駅前の居酒屋。ちょっといい雰囲気の佇まいで、これなら映画の舞台に使える。亡くなった高倉健が主役かな。夜遍路で一度立ち寄ってみたいなあ。


路傍の可憐な花に癒やされる歩き遍路の楽しみもある。これはキスゲの花か。


6月の遍路はこの駅で打ち止め。三角寺までは残念ながら届きませんでした。


5万分の1の遍路地図「歴史を歩く旅マップシリーズ・四国遍路3A、3B」を歩き終えた。次からは4A、4Bに突入だ。


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