Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

65日目「東予の美しい海岸沿いを、アルバイトしながら西条を目指す」(2015年5月11日)

歩数 26481歩
距離 18.5km
消費カロリー 879kcal

 前日の「1日4寺イッキ打ち」の報告は盛りだくさんの内容だったので、最後に訪ねた59番札所・国分寺に触れる余裕がなかった。このままではお大師さまに叱られるのでここで書く。
 伊予の国分寺は天平時代に聖武天皇の勅願によって行基が本尊の薬師如来像を彫像して安置し、開創したと伝えられる。その後弘法大師や弟子の真如によって四国霊場に定められた。
 解説を読むと、国分寺は不運な寺で開創後4度も戦火で焼かれて、江戸時代になって本格的な復興がなされたという。御本尊は薬師瑠璃光如来である。
 標高300mの仙遊寺から転げ落ちるようにして国分寺の入り口に着くと、いきなり30段以上の幅広くて長い階段が視界を遮った。見えるのは階段の上に広がる雨上がりの青空だけである。
 体力の残りをふりしぼって階段を登りきると「握手修行大師」と書かれた、人と等身大の石像が迎えてくれた。左手に薬壷らしいものを乗せ、右手をグイと前に差し出している。せっかくだから握手をして記念写真を撮ったのだが、血の通わない冷たく骨太な手であった(笑い)。握手すると願いがかなうというので、お遍路さんはほぼ100%握手しているようだった。
「全国各地を回って、AKBみたいに握手会をやったらいいのに」と余計なことを考えた黒ちゃんでした。

 さて。明けて今日は、いよいよ今治を離れる日だ。振り返ってみれば今治駅前のビジネスホテルに4日も居座った。この間、荷物を背負った「ちゃんと歩き遍路」は1日、空身遍路は2日、バス遠足が1日。参拝したお寺が6つ、神社が1つである。この結果をどう見るか。そ、それは…、お大師さまにお任せしよう(ちょいと無責任ですな)。
 その反省を踏まえ残りの2日間をどう有意義に使うか、駅裏の「瀬戸寿し」で「お得な1600円晩酌セット」を前に竹内記者と真剣な議論をした。その結果「次の60番横峰寺は標高差がある上に距離があるので今回は体力的に厳しい。次回に送って、平地の61番香園寺(こうおんじ)、62番宝寿寺(ほうじゅじ)、63番吉祥寺(きちじょうじ)、さらに64番前神寺(まえがみじ)の4つを確実に1日で打とう」ということになった。つまりホームラン狙いはやめて確実に単打を稼ごうというセコイ戦略ですな(なんのこっちゃ)。

   7時50分に荷物を背負ってホテルを出発、JR今治駅から8時6分発伊予西条行きの各駅停車に乗り、国分寺の最寄駅の伊予富田駅下車、そこから歩き始めた。国分寺には寄らずに、国道196号よりも海寄りの県道38号に出て、左手に海を見ながら西条を目指す。
 国道を歩く方が近いのだが交通量があまりにも多いので、クルマと一緒に歩きたくない。多少のアルバイト(遠まわり)は覚悟して気持ちのいい道を歩く方を選んだのだが、正解だった。
 白砂青松を絵に描いたような唐子浜、かつて漆器を運ぶ椀船(わんぶね)で栄えた桜井の港や集落、他人の別荘などをのんびり眺めながら歩く。今日は訪ねる札所もないので、なんだかのんびりモードである。海岸伝いに歩いて正午前に国民休暇村「瀬戸内東予シーサイドキャンプ場」に到着。高台に建つホテル「休暇村瀬戸内東予」のランチバイキングでお腹を満たした。
 眺望の良いホテルの食堂から見下ろす東予の海は穏やかに凪いでいて、沖に2つの島影がぼんやり浮かんでいる。スマホで調べると、無人島の平市島(へいちじま)と小平市島(こへいちじま)で、戦国時代には村上水軍の出城が置かれていたらしい。今は間違いなく釣り師のパラダイスだろうな。

 ランチの後も喧騒の国道196号を避けたくて、スマホのグーグルマップの徒歩モードに任せてみる。すると黄金色に染まった麦畑を縫う細い農道を通るルートを選び出すではないか。「グーグル君はガイジンなのになんでこんな道知ってるんだ」とふたりして感心する。それにしても「麦秋」とはよく言ったものである。春なのになんとういう「美しい秋」なんだ。ちなみにこの麦はハダカムギという大麦の品種で、味噌やパンに加工されるらしい。1時間ほどの「麦秋ど真ん中散歩」でJR伊予三芳駅に到着。ここで本日のお遍路を終えた。

 見事な3つの天然色に出会えた眼福の1日に一句
 〈海のあお 麦秋のきん 砂のしろ〉
黒笹慈幾


国分寺の「握手修行大師」とガッチリ握手。なんか不思議で不気味な手の感触である。


白砂青松を絵に描いたような唐子浜でシロギスの投げ釣りをしていた釣り師を冷やかす。クーラーの中を覗いたが、高知のシロギスの方がふた回りくらい大きかった。エッヘンである。


伊予桜井は漆器の塗り物で栄えたところらしい。当時はこの港から製品を船で運んだことから「椀船の港」と呼ばれたらしい。


犬の散歩中のおじさんに道を聞いたら、地元の桜井地区の観光や歴史にやけに詳しい。素性を聞いたら3月まで今治市の観光担当をやっていた市のお役人だという。参ったなあ。歩き遍路じゃないと、こういう愉快な事件は起こらない。


高台のホテルの食堂から東予の海を望む、といっても春霞に霞んで沖の島影もボンヤリしている。


ハダカムギの黄金色に色づいた穂。まさに麦秋である。このすぐ隣りの田んぼではちょうど田植えが行われていた。


伊予三芳駅のホームで。今年初めての「お遍路コーラ」、うまい!そろそろコーラが恋しい季節になってきたぞ。


明日は、JR予讃線の電車を使ってスタート地点の伊予三芳駅まで戻り、そこから60番横峰寺を飛ばして64番前神寺のある石鎚山駅まで歩くつもりだ。


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