Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

63日目「足の痛みを癒すため、お遍路さぼってバス遠足」(2015年5月9日)

歩数 0歩
距離 0km
消費カロリー 0kcal

 初日の「思いっきり遍路」で傷めた両太ももの筋肉がなかなか癒えない。特に右足の太もも裏の筋肉がピリピリ痛む。今治の夜を楽しもうと夜ごと街に繰り出すのだが、足を引きずりながらでどうも勝手が悪い。昼遍路で傷めた足を夜遍路でさらにいじめる格好になる。いっそ夜遍路をやめればいいのだが、毎夜の居酒屋通いこそ「遍路旅の真髄」と信じている竹内記者に向かって「今日はやめましょう」と言い出せない優しい黒ちゃんなんである。

 それが昨晩、突然竹内記者の方から「明日は歩くのやめましょうか」と言い出した。彼も同じように太ももが痛いのだ。「やれやれ、やっと気付いてくれたか」と思ったら、お休みするのは夜遍路ではなく、昼遍路の方だという。違う意味で「やれやれ」である。
 足のためには1日完全休養日にして 部屋で横になっているのがベストとわかっているのだが、朝起きてみれば外は快晴、みごとな五月晴れである。ちなみに今日のような快晴を航空業界用語でCAVUというらしい。「みごとな晴れっぷり」(Clear Above Visivility Unlimited )の略だそうだが、せっかくお休みを決めた黒ちゃんと竹内記者の前に瀬戸内のCAVUが舞い降りてきたのだ。
 「部屋に籠っているのはもったいない、足を使わずにすむところに出かけよう」ということで、かねてから気になっていた大三島(おおみしま)の大山祇(おおやまづみ)神社に参拝しようということになった。大三島までは今治駅前のバスターミナルから「しまなみ海道」経由の急行バスが出ているので、それに乗る。これならば足には負担はかからない。おとなのバス遠足である。

 バスの車窓からの来島海峡の眺めが素晴らしかった。島と島の間に瀬ができていて、遠くからでも潮の流れがはっきりわかる。「何が釣れるのかなあ」「潮が速いところにはたいてい鯛が付くよね」「アオリなんかもいいんじゃない」「あーあ、ゆっくり釣りがしたいなあ」「竿持ってきてればなあ」。
 バス遠足の車中で今回の旅に竿を忘れた自分たちを責める釣りバカお遍路コンビでありました。

 さて。ではなぜ、大三島の大山祇神社なのか。実はお遍路の途中ではからずも観ることになったミュージカルがあまりにも感動的で、涙と鼻水が止まらなくなり恥ずかしい思いをしたことを3月11日のこのブログで書いた。東温市の「坊っちゃん劇場」で超ロングラン公演を続けているミュージカル「鶴姫伝説」である。その主人公の鶴姫こと大祝 鶴(おおほうり つる)が大山祇神社の大宮司、大祝安用(やすもち)の娘だとされていて、宝物殿に彼女が使っていた鎧が展示されているという。また、中世に瀬戸内海を治めていた村上水軍の守護神でもあったというので、前から気になっていたのである。
 ただ、DL(傷病者リスト)入りをした当日に大山祇神社を訪ねるのは少々気が引けるし、よく考えると黒ちゃんも竹内記者もお遍路の途中だから同行二人、弘法大師も引き連れて他所の世界の神さまの元に参内することになる。随分と大胆なことをするもんである。しかしこの機会を逃すのはもったいない。お大師さまは寛容なお方だからたぶん許してくださると思う(笑い)。

 大三島の大山祇神社の境内は樹齢2千年以上の楠の大木たちに囲まれた静謐な空間だった。聞こえるのは梢をわたる潮風の音とイソヒヨドリの透明な歌声だけ。真言密教のお寺の持つ静寂感とは明らかに違う、抹香臭のない静けさと言おうか。
 こっちもなかなかいいじゃないの。せっかく来たんだから神殿で祈祷を受けようと思い申込書を書いていると、「願いの種類」を書く欄があった。例として「商売繁昌」「家内安全」「病気平癒」「合格祈願」などなどたくさんのメニューが用意されている。
 どれにしようか迷った末「商売繁昌」と「家内安全」を選んで書き込んだところで、横からのぞき込んでいた竹内記者が「待った!」をかけてきた。
 「黒笹さんはやっぱりこれじゃなきゃダメですよ」と指差したのは「大漁満足」。「浜ちゃんなんだから」だって。なるほどそれにも一理あるな。
 結局、黒ちゃんは天照大神の兄にあたるという大山祇神社の日本総鎮守・大山祇大神一座の御前で、かしこみかしこみ「大漁満足」を祈願したのであります。「大漁祈願」じゃなくて「大漁満足」って表現、釣り師の矜持が込められていてステキだなあ。大山祇神社は水軍の神さまだから、釣り師の気持ちがわかるのかもしれない。

 大三島から帰るバスの中で一句
 〈バカ釣り師 満足の文字 辞書になし〉
黒笹慈幾


しまなみ海道から 来島海峡を見下ろす。潮流の強いことがひと目でわかる。いい釣り場にちがいない。


今治と大三島を1時間半で結ぶ急行路線バス。バス遠足なんて久しぶりである。


大山祇神社の境内。樹齢2千年を越える楠の大木に囲まれた、静謐な空間。


別の神さまが仕切る場所へ、お大師さまをお連れすることが果たして許されるのか、少し心配だったが。


大山祇神社に収められている国宝級の武具の数々。寄進した人たちの名前がすごい。


祈祷を受けていただいたのは「大漁満足」のお札。


神殿でひとりで祈祷を受ける黒ちゃん。祈祷を尻込みした竹内記者に写真を撮ってもらう。


大山祇神社の境内の外に建てられた鶴姫のブロンズ像。左手の先には鈴を持つ。


ランチタイムの11時半過ぎになると大山祇神社の向かいの食堂に40人以上の行列ができた。お食事処「大漁」の海鮮丼が人気らしい。


今治に帰って「麺屋武吉」のラーメンでランチ。黒ちゃんは「こってり醤油ぜんぶのせ」をいただきました。ぬるっとした極太麺に煮干しダシのきいたスープ、結構なお味でした。


今治市内にある「麺屋武吉」のお店の外観。「当世流行のこだわり系ラーメンですね」が、竹内記者の解説。


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