Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

56日目「1日で4つの札所をまわる、とってもおいしい松山市内遍路」(2015年3月8日)

歩数 21595歩
距離 15.5km
消費カロリー 716kcal

 昨日、三坂峠を下り切った黒ちゃんが、鼻水まみれのトホホな状態でたどり着いた札所が第46番札所・浄瑠璃寺であった。境内には樹齢1000年を超えるという檜の仲間・イブキビャクシンの大木がそびえ立ち、大師堂前のミツマタの可憐な黄色い花が春の到来を告げていた。
   今日は改めて浄瑠璃寺からスタートして最終的に50番札所の繁多寺まで辿るつもりでホテルを出発した。

 そうそう、歩き始める前に、昨日から持ち越していた重要課題、「花粉症対策」の話をしなくちゃ。昨日のブログで思わせぶりに書いたように、同行の竹内記者が持参していた特殊マスク、これが実はメガネを曇らせない新兵器だった。鼻や口から出た呼気がマスクと頬の隙間から漏れてこないよう、スポンジ系のパッドが裏打ちしてある。これでメガネの曇りを防ぐ仕組みだ。実際に装着して歩いてみたがほぼ完璧であった。
  という経緯があって、今朝は花粉症対策の新兵器を携えて浄瑠璃寺行きのバスに乗り込んだのだが…。残念ながら、じゃなかった幸いにも、朝からの雨で花粉が飛んでいないようで、昨日のグズグズが嘘のように鼻の調子がよろしい。昨日の黒ちゃんの情けない状態を見てのお大師さまのご慈悲であろう。
 なごり雪の次は、花粉鎮めの雨である。昨日も書いたが、お大師さまの演出はサプライズの連続、つくづく油断のならぬお人である(笑い)。夜遍路の途中に慌ててドラッグストアで購入した新兵器、明日以降にとっておこう。

 さと。今日は天気予報どおり、朝から雨である。雨遍路は通常ならば気が重いのだが、今回は松山市内の各所をめぐる都市遍路、なんとなく気が楽だ。でも手を抜かずにレインウエア上下を着込み、ザックに防水カバーを被せ、傘をさして歩く。
 最初の寺は47番札所・八坂寺だ。浄瑠璃寺からわずか800mしか離れていない。ここまでの歩き遍路でこれだけ至近距離の札所は初めてである。車道を離れて畑の間に住宅がパラパラ点在する素敵な農道をゆっくり歩く。八坂寺はこじんまりしているが雰囲気のある美しい寺だった。修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が開祖と言われる、奈良時代に建立された古刹である。御本尊は阿弥陀如来、真言は「おん、あみりた、ていぜいから、うん」

 次の寺は48番札所・西林寺だ。八坂寺から1時間、住宅街や小学校の間を抜ける細い道を車を避けながら歩き、重信(しげのぶ)川にかかる長い橋を渡り切った高井という地区にあった。
 西林寺の境内は本堂と大師堂、閻魔堂などの伽藍と遍照殿、仁王門、納経所などのすべての構造物が見事に計算されて配されていて、一幅の絵のようだった。トイレや休憩所のデザインも美しい。そういう空間に我が身を置ける幸せを感じる瞬間である。
 納経所の前の庭の桜と梅が共にピンク色の花をつけていたのには驚かされた。梅と桜の花見が一緒にできるなんて、これもお大師さまの仕込んだサプライズか。
 西林寺の御本尊は、この寺の開祖、行基がみずから彫ったという十一面観音菩薩、真言は「おん、まか、きゃろにきや、ぞわか」。

 西林寺前のうどん屋で温かいうどんランチを終えて出てみると、雨脚が強くなっていた。西林寺から次の49番札所・浄土寺までは交通量の多い細い道を車を避けながら歩かされた。歩道もほとんどないので、クルマが跳ね上げた水しぶきが時折足元を濡らす。もう少し歩き遍路に配慮のある遍路道を用意してほしいと思った。
 1時間弱で浄土寺に到着。本堂の屋根が独特の形をしていて美しい。奈良の斑鳩の里の唐招提寺に少し似ているな、という印象である。
 インターネットで調べてみると、この本堂は単層、寄棟造の本瓦葺き、和・唐様を折衷した室町時代の建築物、とある。詳しいことはわからないがやはり評価の高い建造物のようである。黒ちゃんの審美眼もまんざらではない(なんちゃって)。
 ここには重要文化財の木造空也上人立像と、松山市の指定指定有形文化財の不動明王像が所蔵されているそうである。近ごろ仏像趣味に走り始めている黒ちゃん、この2体の仏像を見る機会があれば、ぜひまた足を運ぼうと思った。
 御本尊は行基作の釈迦如来、真言は「なうまくさんまんだ、ぼだなんばく」。正岡子規が空也上人をリスペクトした「霜月の 空也は 骨に生きにける」という素晴らしい俳句を残している。

 さて。次は本日4つめの寺、繁多(はんた)寺である。浄土寺からは30分弱、お墓の間を抜ける急坂を登りきると目の前にいきなり立派な山門が現れたので驚いた。
 あっという間に着いてしまったので、頭の切り替えが間に合わない。ここまでくると黒ちゃんも竹内記者もなんだか息切れ気味、カラダではなく脳の方がである。脳が息切れするというのも妙だが、酸素が足りなくなる感じといったらいいだろうか。一度にインプットされる情報量が多すぎてうまく処理しきれなくなっているのだろう。
 えーと、繁多寺の開祖は行基(ぎょうき)、文殊菩薩の化身とも言われる奈良時代の高僧である。御本尊はおなじく行基作と伝わる座高90cmの薬師如来像。このあたり、インターネットそのままコピぺで失礼します。もう黒ちゃんの頭の中のCPU(中央演算装置)がパンクしかかっているので(笑い)。
 繁多寺のご住職の小林隆弘さんが本堂に入れてくれるというので、遠慮せずに上がらせていただいた。御本尊の薬師如来は拝めなかったが、修理したときに戦国時代の作であると判明した地蔵菩薩を見せていただいた。新しく塗り直して新品の仏像のように見えたが、なかなか美しいお顔立ちの仏像で、息切れしかかっていた黒ちゃんの脳をシャキッとさせる貴重な出会いだった。
 本日のお遍路はここで終了、今宵の宿は道後温泉である。あつーい湯につかって頭をリセットしようっと。

 最後に。納経帳の墨書が一気に4つも増える、こんなウハウハ体験は初めてである。そんな今日のお遍路ードを表現するキーワードをどうしようか迷った末に「芋づる式遍路」と名付けることにした。お大師さま、お許しください。

  

花粉症の鼻をお大師さまに救われて一句
〈春へんろ  花粉を流す  慈悲の雨〉
黒笹慈幾


昨晩の夜遍路は、朝生田町の点心菜館「豫園」。名物メニューの小籠包をたらふく食べて出陣式を終えた。


竹内記者が持参していた高機能マスク。性能が抜群によろしい。メガネ派のための花粉症マスクの新兵器だと思う。


マスクの裏側にこのようにスポンジのガードが縫い付けられている。これでメガネの曇りほぼ解消される予定。


新兵器マスクを付けた黒ちゃん。こうしてみると、どう見ても怪しいおじさんにしか見えない。


八坂寺の本堂。御本尊の阿弥陀如来が祀られている。八坂寺は小さいながらも美しい寺。


雨遍路の完全装備。写真には写っていないがザックにはカバーも。レインウエア上下を着ても顔に雨がかかると煩わしいので、傘は必携です。


48番札所・西林寺の山門から境内を望む。西林寺には伽藍や他の建物の配置が計算され尽くした美しさがある。また、ひとつひとつの建物のデザインに現代的センスが感じられる。


西林寺の納経所前の庭では、梅の花と桜の花が一緒に咲いていた。竹内記者とふたりで雨に濡れながら豪華な花見を楽しんだ。


道路をはさんで西林寺の向かいにあるうどん屋「味十味」で、しっぽくうどんのランチ。冷えた体に熱々のうどんはありがたい。


49番札所・浄土寺の仁王門。力強い金剛力士像の、こちらは「吽(うん)」のほう。


浄土寺本堂の建物。屋根や庇の曲線のラインが特に美しい。和様と唐様を折衷した室町時代の作だという。


浄土寺から50番札所・繁多寺に向かう遍路道は途中、お墓の真ん中を通過する。このような石仏たちが歩き遍路さんを迎えてくれる。


太くて立派な柱が存在感を示す繁多寺の山門。時代劇の撮影にそのまま使えるな、と余計なことを考えた。


繁多寺のご住職の小林隆弘さんが本堂を開けて案内してくれた。修理のときに戦国時代作と分かったという貴重な地蔵菩薩を見せていただいた。


繁多寺という珍しい名前の縁起か書かれた解説板。繁多(はんた)は、多くの幡が翻る様子を表す「幡多」から来ているらしい。


繁多寺への遍路道の脇には菜の花が咲いていた。いよいよ冬遍路から春遍路へ、季節が移ったことを感じさせる花だ。


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