Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

48日目「お遍路民宿で恐怖の豆腐責めが待っていた」(2015年1月27日)

歩数 13116歩
距離 9.4km

 先ほど「内子の宿と食べ物の話題ばかりで、ぜんぜんお遍路っぽくないじゃん」というブログの読者からのクレームがLINEメールで届いた。私の奥さんからだ。1週間も家を空けっぱなしで、ひいひい言いながら歩いているのかと思えば、楽しそうにビール飲んだりドイツ料理を食べたりしている。なんか割り切れない、というニュアンスたっぷりのメールである。
 「少しはしゃぎすぎました、ごめんなさい。今度は家族で内子に来ようね」という恭順メールを返して、なんとか窮地を脱した黒ちゃんである。
 という事件がありまして「ちゃんと歩いている」ことを証明すべく、昨日の内子市街から内子町大瀬まで、17kmあまりの道すがらの様子を振り返って書いておくことにします。少し長くなると思いますがお付き合いください。

 内子町からの国道379号線は久万高原町方面に向かうお遍路さんが必ず利用する国道である。次の44番札所大宝寺や45番札所岩屋寺は久万高原町にあるからだ。
 肱川の支流、透き通った流れが美しい小田川を右に見ながら、よく整備された国道沿いを歩く。内子の分岐からほぼ平坦な道で歩道もしっかり付いているので、とても歩きやすい。
 歩いていて気がついたのだが、愛媛の山あいのバス停にはたいてい屋根付きの木造の待合所が建てられていて、中には手入れの行き届いた木のベンチがある。つまりバス停ごとに休憩ポイントが現れるわけで、歩き遍路さんにとっては大変にありがたいインフラだ。炎天下の夏遍路、ざんざん降りの雨遍路、凍える吹雪遍路のシェルターとして、ひんぱんに利用されているはずだ。お遍路インフラとして高知もぜひ見習いたい部分である。
 見習いたいといえばもうひとつ、「愛媛の掃除好き」がある。遍路小屋や休憩所、バス停小屋には必ずホウキとチリ取りが常備されていたし、遍路道沿いの道路や河川敷にゴミや不法投棄は見られなかった。これから高知が観光あるいはお遍路ツーリズムで生きていこうとするならば、これは絶対必要な要件だと思う。
 小田川の水がやけにきれいな理由も宿泊した民宿のご主人の話で判明した。流域の大集落には町営下水道が、中小集落でも各家に合併浄化槽が設置済みなのだという。山間の川に流れ込む生活排水がちゃんと処理されれば、清流は戻ってくるということである。夏の鮎釣りにぜひ訪れてみたい川だと思った。

 五百木(いよき)から大瀬にかけての小田川沿いの集落は、果物の栽培と販売が盛んらしい。段々畑の斜面にぶどう、梨、柿の木がびっしり植えられている。今はシーズンオフなので閉まっていたが、直売所の看板も多い。畑では農家の人が春に向けての剪定作業を急いでいる様子である。
 柿農家のおばちゃんをつかまえて「どんな品種を作っているの?」と聞くと、富有柿が7割、干し柿用の渋柿が3割だと教えてくれた。「3日前まで干し柿があったんやけど。お接待できずにごめんなさいよ」と言われた。あらら、お接待を強要したわけじゃないんだけどなぁ。ちょっと不本意ではあります。

 昨晩、我々が泊まった内子町大瀬東路木のへんろ民宿「来楽苦(きらく)」は、豆腐屋さんのご主人が営む宿であった。「今晩は豆腐料理ですよきっと」という竹内記者の期待に違わず、夕食は豆腐のオンパレードだった。
 生湯葉に始まり、温豆腐、冷奴、みそ田楽、野菜豆腐炒め、豆腐野菜味噌汁と、肉一切なし精進モードの「豆腐責め」。竹内記者もさすがに参ったらしく、途中から徐々に口数が少なくなり、早々に自室に引き上げてしまった。黒ちゃんも今まで生きてきて、こんなに豆腐ばかり食べたのは初めてだった。
「揚げ豆腐とか肉豆腐とかさ、もう少し工夫が欲しいよね」
 これは、居酒屋の晩酌にも必ず豆腐を一品欠かさないという「豆腐LOVE派」の竹内記者が、翌日にポツンとこぼした言葉であった。

 さて、今日は1月のお遍路ードの最終日。コースは、豆腐責め民宿(失礼!)を発ち、小田川と田渡川の分岐を左に折れ、田渡川沿いに砥部町総津の落合トンネル出口までの約10kmを歩くだけである。
 春の予感がする暖かな小雨の中を歩く。道は徐々に勾配がきつくなり、川の水量も少なくなる。歩き始めて2時間、午前11時ちょうどに久万高原町に向かう県道42号の分岐、落合トンネルに到着。ここで旅館「たちばな」からの迎えの車に乗り込んで、今月のお遍路は終了である。
 2月のお遍路ードは、再びここから四国霊場44番札所・大宝寺に向けて歩き始める。

 最終回のブログは長文になってしまったが、今晩は竹内記者と旅館「たちばな」の料理とお酒で打ち上げ。明朝松山市に出て、高速バスで高知に帰る予定である。ここまで黒ちゃんのブログ「釣りときどきお遍路」日記のご愛読感謝。来月は2月上旬から歩き始める予定である。

〈前夜の豆腐責めから生還して一句〉
今晩は 豆腐料理は 出ないよね
黒笹慈幾


内子町五百木にある「お遍路無料宿」。内部は綺麗に清掃されていて清潔で気持ち良い。


お遍路無料宿の内部。居心地が良すぎるようで「2泊以上は禁止」の張り紙が(笑い)。


小田川の水はクリアで底石までくっきり見える。水源の水質がいいだけでなく、流域の下水処理をちゃんとしているからだという。一時は随分汚れていたらしい。


ノーベル賞作家の生まれ故郷の地、内子町大瀬。山あいの小さな集落だった。


大瀬の掛木地区の斜面には一面柿の木が植えられていた。聞けばここは富有柿の生産地であった。


豆腐屋さんが経営するへんろ民宿「来楽苦」の外観。隣に豆腐製造所とお店が併設されている。豆腐大好きのお遍路さんにオススメの宿。


田渡川川畔の立派な遍路小屋。暖かい季節ならば沢音を聞きながら宿泊もできそう。奥に隣接して清潔なシャワー小屋も建てられていた。


43番明石寺と44番大宝寺は70kmほど離れている。先を急がないゆっくり遍路がモットーの我々、今回の5日間の区切り打ちでは、ちょっと届かない距離である。


久万高原町への分岐点、落合トンネル出口のバス停で宿の迎えのクルマを待つ竹内記者。愛媛の停留所小屋は、雨を避けて着替えもできるシェルターになる。ありがたい。


落合のバス停の中にもお約束の箒とチリ取りの「お掃除セット」が。愛媛県人の綺麗好き、黒ちゃんは尊敬します。


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