Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

47日目「内子町のドイツな夜、ナイスな朝」(2015年1月26日)

歩数 23867歩
距離 17.1km

 内子の宿は素晴らしかった。前日の大洲の宿選びで失敗し、大いに落ち込んでいた竹内記者だったが、この日はみごと名誉挽回、「大洲の仇を内子で討った」(なんのこっちゃ)格好になった。

 「竹内よ、前夜の仇討ちご苦労であった。みごと本懐を遂げたな」いきなり水戸のご老公になって黒ちゃんは竹内記者をほめまくった。それほど素敵な宿であった。彼が内子町のホームページサイトから検索して見つけた宿は「文化交流ヴィラ 高橋邸」である。高橋邸というのは日本の麦酒業界の発展に大いに貢献し、吉田茂内閣の通産大臣として戦後の日本の経済復興に力を尽くした地元出身の経済人、高橋龍太郎の育った家だ。

 現在は遺族から寄贈を受けた町が管理し、その「離れ」をボランティアの女性たちの協力を得て宿泊所としている。晩年に高橋翁が生活の拠点にしていただけあって、華美ではないが贅を尽した実用的な作りである。水周りを現代風に改造してあり、トイレとお風呂場は床暖房まで入っていて、黒ちゃんの自宅よりずっと暖かい。つい「もう一泊しようか」と言い出しちゃいそうになったほどだ。

 晩御飯なし朝食付きの「B&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)スタイル」だが、ボランティアの女性が作る温かい朝食は、一流料亭にも負けない美味しさだった。「文化交流ヴィラ 高橋邸」は1日1組限定で要予約。すごいのは大人が2名で使用した場合の料金が、なんと1人5180円(消費税込み)だったこと。本当にこんな値段でやっていけるんだろうかと心配になる良心価格なんである。まいった!まいった!というわけで、我々は2月のお遍路ードのスタート地点を急遽内子町に変更し、帰りがけに来月の宿泊予約を入れちゃったのである。

 さて。内子の「宿」の話を最初に長々と書いてしまったが、内子の「夜」も素晴らしかったので、こちらも長々と書かせていただく。竹内記者が夕食処に選んだドイツ料理の店は大当たりだった。古民家ドイツレストラン「ツム・シュバルツェン・カイラー」である。うっかりしていて店名の日本語訳を聞きそびれたが、ドイツ人の旦那さんと日本人の奥さんが経営する趣味のいい店だ。ここで本格的なドイツ風手作りソーセージ、ザワークラウト(ドイツのキャベツの漬物)、ジャーマンポテトを食べながら、バイツェンビールをいただいた。

 お遍路でたまたま迷い込んだ観光地のレストランで、本格ドイツ料理とドイツビールに出会うという非日常インターナショナル体験に、大いにコーフンしまくった黒ちゃんであった。こんな夜遍路をお大師さまはなんと言うだろう。少し後ろめたい。

 朝8時に高橋邸の美味しい朝ごはんとコーヒーをゆっくりいただき、古い街並みや内子座を見学して町を出発したのは11時を過ぎていた。少しのんびりしすぎたようで、次の目的地の内子町大瀬のへんろ民宿「来楽苦」に着いたのは午後2時半を回っていた。ドイツな夜とナイスな朝を堪能しすぎたようである。

〈内子のドイツな夜に感謝して一句〉
オリオンを 見上げて帰る 夜遍路
黒笹慈幾


内子の歴史的町並みに夜がやってきた。冬の空にはオリオン座が青白く輝く。夜遍路日和である。


ドイツを代表するヴァイツェンビールを古民家を改造したレストランでいただく。「プハーッ」と思わず声が出る爽快な味と喉ごし。


「ドイツビールにはやっぱりソーセージでしょ」ってわけで、手作りソーセージの盛り合わせを注文したら、これだけでお腹がいっぱいになるボリュームがあった。


ドイツ古民家レストラン「ツム・シュバルツェン・カイラー」のメニュー。グラスの白ワインも辛口で樽香もありグッドでした。


高橋邸の朝食。炊き立てのご飯も、「はらんぼ」と呼ばれる高級じゃこ天も、野菜の煮物も、湯豆腐も、手作りサラダドレッシングも、一切の手抜きなしの高級旅館の味。


一般に公開されている母家に展示してあった高橋邸の主、高橋龍太郎を紹介した新聞記事。若いころドイツでビール作りを学んで帰国、後のアサヒビールの基礎を築いた「ビールの父」とある。


我々が泊まった高橋邸の離れ。日本建築の美しさをさりげなく漂わせる気品あるデザイン。オーナーの趣味の良さが滲み出ている。一晩泊まっただけで通産大臣になった気分。


大正生まれだが、どっこいまだまだ現役です、の芝居小屋「内子座」。かつて林業と木蝋で富を蓄積したリッチな町、内子ならではの豪華な造りの内部。巨大なまわり舞台や、せりも備えている。


内子の街中でのんびりし過ぎて出発が遅れた。国道56号から別れ379号線を久万高原方面へ。次の札所の44番大宝寺、その次の45番岩屋寺までは、まだまだ距離と標高差を稼がねばならない。


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