Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

40日目「お大師さまのご機嫌が直ったか、完璧な歩き遍路の1日」(2014年12月20日)

歩数 31648歩
距離 22.7km


 今日は久しぶりに「気持ち良い歩き」の1日だった。「気持ち良い歩き」の条件は第1に、車の通らない歩き専用の道であること。第2に、適度の距離と高低差があること。第3、行程のどこかにステキなビューポイントがあること。第4、ちょうどいい時間に昼ご飯を食べられること。第5、穏やかな天候であること。
 今日はこの5つの条件をすべて満たした完璧な1日だった。それにしても昨日までの3日間はひどかった。初日は冷たい雨の松尾峠越え、2日目は吹雪の里山彷徨、3日目は凍れる向かい風の国道56号、まさに「修行」のような3日間だったのだ。
 お遍路さんの四国霊場88ヶ所巡礼の旅で、土佐国は「修行の道場」と呼ばれる。そこを無事卒業して、いよいよ「菩提の道場」の伊予国にステージアップしたとたんの「修行」の3日間である。「まだまだ修行が足らん、とお大師さまが怒ってるのかも」「何か、お大師さまを怒らせるようなことしたかなあ?」「ほら、毎日、夜遍路して般若湯飲んだりしてるじゃない」「うーん、それかなあ」などと、昨晩、黒ちゃんと竹内記者が反省モードに入ったことが評価されたのかもしれない。だから今晩は少し晩酌の酒を控えましょうね、竹内くん。

 さて。昨晩は御荘菊川のドライブイン「ビーチ」に泊まった。「ビーチ」は、一瞬通り過ぎてしまいたくなるくらいオンボロの外観だったが、ご主人も奥さんも現役で、温かくて美味しくてボリュームたっぷりの料理を出してくれるステキな宿だった。
 あたたかい朝ごはんをいただいて、朝8時に「ビーチ」を出発。今日は愛南町柏までは国道56号を歩き、柏からは川沿いに山中に入り、山越えのショートカットルートで津島町大門で再び国道56号に合流、津島町岩松の「三好旅館」まで歩く。本日のお楽しみは、柏から大門までの全長9.8km、標高差450m「柏坂越え」と呼ばれる遍路古道の歩きである。
 そして期待通り、今日の「柏坂越え」は「気持ち良い歩き」の5つの条件をすべて満たしていた。まずは、いきなりの急登はんが約1時間。登山口から第一休憩所の柳水大師までの1.8km、高低差350mは、なかなかタフな山道だった。途中で息が切れ、汗をおさえるため3度ほど小休止をとるほどだった。途中に野口雨情の歌碑が7つ、次々に現れて柏坂越えのお遍路さんを慰めてくれる。私の一番のお気に入りは、6番目に現れたこの一首。
「梅の小枝でやぶ鴬は 雪のふる夜の夢を見る」

 柏坂展望台からの宇和海と由良半島の眺めが素晴らしかった。リアス式海岸の海は、昨日とは打って変わり、波ひとつなく穏やかでいつまで見ていても飽きない。この景色を見ながら黒ちゃんは昔訪ねた長崎県対馬の浅茅(あそう)湾を思い出していた。リアス式で波静かな浅茅湾は巨大チヌ(クロダイ)の釣り場として知られる。すると横で同じ景色を眺めていた竹内記者が「ここ、タイラバできませんかね」と言う。「タイラバ」とは鯛のルアー釣りのことである。同じ景色を見て、竹内記者はマダイを思い、黒ちゃんはチヌを思った。このことに何か意味があるとは思えないが、どちらもしょうもない釣りバカであるということだけは確かだろう。

 展望台から先はもう登り勾配はなく、杉と檜と照葉樹の混じる細い山道の、気持ちのいい緩やかな下りを7.5kmほど歩いて国道56号に復帰した。その国道に出るちょっと手前で「茶坊 泰山」と書かれた看板が目に飛び込んできた。午後1時を少し過ぎていて、ふたりのお腹もちょうど昼支度を要求していたので、まことにグッドタイミングである。これもご機嫌が直ったお大師さまのサービスかもしれない。竹内記者はカレーライス、黒ちゃんはカレーうどん、ともに食後のコーヒーと酒まんじゅう、おはぎを胃袋に収めて一路、今日の宿を目指した。

ここで本日の柏坂越え三部作

昼遍路 夜は猪 柏坂
ホッカイロ はがして清し 小休止
まんじゅうの 甘さしみいる 柏越え
黒笹慈幾


朝8時、国道に伸びる長い影。お遍路さんとしてはこれでも遅めの出発だ。


愛南町内海のバス待合室に貼られていた闘牛大会のポスター。ここはもう宇和島の文化圏なのだ。


柏坂越えを誘う道標。石柱には次の札所・41番龍光寺の文字。


柏坂の登り口までは川沿いの気持ちのいい道をたどる。前方左手に見える家の脇に遍路古道の入り口がある。


きつい登りの古道を歩くと、野口雨情さんがたびたび現れて、息があがり気味の黒ちゃんの心を鎮めてくれた。


お遍路のカバンの中に甘いものは必須。アーモンドチョコボールは冬遍路専用。


柏坂展望台から望む宇和海のリアス式、由良半島の海。


稜線近く、馬の背のようになった遍路古道。木漏れ日を浴びながら気持ちよく歩く。


お腹を空かせて山を下り、国道に出た途端に茶屋発見。大きな「おはぎ」の文字に誘われる。


「山を下りたらカレーライス」が竹内記者のお決まりのコース。朝からカレーの日もあったな。今日は黒ちゃんはカレーうどんにした。


津島町大門の「茶坊 泰山」のコーヒーとおはぎで、無事の柏坂越えをふたりで祝った。


<<前の日へ     次の日へ>>