Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

39日目「久しぶりに門限付きの宿坊に泊まる」(2014年12月19日)

歩数 13132歩
距離 9.4km

 この原稿は、朝食ナシの宿坊を早発ちして国道56号線沿いの24時間ファミレス「ジョイフル」で和定食を食べながら書いている。昨夜、“寒”自在寺だった観自在寺は、今朝も寒自在寺だった(なんのこっちゃ)。冬型の気圧配置のせいで疲れることを知らない連夜の大風が、今朝まで宿坊の窓ガラスを激しく叩いていた。エアコンをつけっぱなしで寝ていたが、冷気が窓や廊下から忍び込んできて夜半に何度も目が覚めた。
 お寺の宿坊に泊まるのは四万十町窪川の37番札所・岩本寺以来である。宿坊というと広い部屋に何人ものお遍路さんが雑魚寝していて、朝食は精進料理かお粥で、本堂での早朝お勤め付き…という固定イメージがあったが、どうやら最近は変わってきているようだ。

 岩本寺も観自在寺も部屋はひとりずつの個室だったし、食事は付かず、観自在寺は朝の勤行もなかった。言ってみれば「お寺の境内にある素泊まりの宿」のようになってきている。竹林寺の住職の海老塚和秀さんが「お寺にとって宿坊の経営が負担になってきている」と話しておられたが、なんとなく納得である。今後、時代のニーズに合わせて宿坊の経営をどうしていくのか、撤退か経営改革か。四国霊場88箇所のお寺さんにとって喫緊のテーマではないかと思う。

 ちなみに、黒ちゃんが現在進行形で進めている「お遍路ードプロジェクト」では、宿坊とその周辺ビジネスの積極展開を提案している。イギリス流のB&Bスタイル(朝ごはんbreakfastとベッドbedだけを提供する方式)の簡易宿泊システムにして、お寺の負担を減らしながら宿泊者の居心地をよくしていく、あるいは宿坊内に広いパブリックスペース(ホテルロビー)を確保して、お遍路さん同士の交流を促進する、境内にゆっくりくつろげる「お遍路カフェ」を作るなどなど。時代のニーズを捉えた宿坊の新スタイルの試行をどこかの寺と一緒にやってみたいと考えている。ご興味のあるお寺さんがいたら、声を掛けていただきたい。

 さて。平城山観自在寺は真言宗大覚寺派のお寺で、愛媛県南宇和郡愛南町御荘(みしょう)にある。第1番札所からいちばん離れていることから「四国霊場の裏関所」と呼ばれている、と解説にはある。御本尊は真言「おんころころ せんだりまとうぎ そわか」の薬師如来さま。脇侍の阿弥陀如来、十一面観音菩薩のあわせて3体の木像は、空海が一本の霊木から刻んだと伝えられている。昭和34年の失火で本堂が消失し、現在の本堂はその後に建立されている。
 昨日は寒風の中を午後1時過ぎに観自在寺の参道の入り口に着いた。県道297号線から北に100mほど伸びた参道の先に、愛南町指定有形文化財の総けやき作りの立派な仁王門が待ち構えていた。宿坊で荷物を解いてから本堂と大師堂に参拝したのだが、ふつうは別棟になっていることが多い納経所が本堂の中にあり、そこで係の女性が納経帳にていねいに墨書してくれた。
 我々の他に参拝客はおらず、なんとなくのんびりした雰囲気が満ちている本堂で、こうして納経できるのはうれしいし、なんだか参拝気分が盛り上がる。
 境内には石作りの十二支守り本尊の八体仏があり、寅年の黒ちゃん担当の虚空蔵菩薩さまが寒空の下、虚空を睨んでいたので「精が出ますね」と激励した。「春の夜や 籠人ゆかし 堂の隅」の松尾芭蕉の句碑もあった。竹内記者が「籠人って何だろうね」と言うので調べてみた。最初は籠(カゴ)人と読んでいたのだが、実は籠(コモリ)人のことだと分かり、なんとなく納得したが、籠と籠るが同じ漢字だったということに初めて気づいた黒ちゃんと竹内記者でした。

 ところで、観自在寺の宿坊の門限が8時半だったのには往生した。竹内記者との晩酌付き晩ごはんの夜遍路を早めに切り上げざるを得なかったのだ。このたびの12月のお遍路ードではまだカラオケに行けていない。昨日の「いっぷく堂」で、大川栄策のアカペラで気分が盛り上がっているのに。この感じだと伴奏付きの「さざんかの宿」は宇和島市まで辛抱するしかなさそうだ。
 次の目的地、41番札所・龍光寺までは国道56号線経由で50.2km、途中、御荘菊川、津島町、宇和島市内と3泊して4日目に到着する予定である。

ここで一句
門限に 急かされくぐる 仁王門
黒笹慈幾


約2か月ぶりの札所になる40番・観自在寺の案内石柱。後ろが参道。


なかなか立派な観自在寺の仁王門の前で記念撮影。厳冬期の北アルプス登山のような雰囲気ですが、ホントに寒かったんです。愛南町指定の有形文化財で総ケヤキ造りだそう。


宿坊の個室。昔、取材で訪れた某刑務所の個室に似てます、鉄格子がなければ、なんて言ったらお大師さまに叱られるか。でも、快適でした。


観自在寺の宿坊に泊まるお遍路さんはこのルールに従わなければならない。最初に門限p.m.8:30を通告される。夜遍路派の我々にはつらいなあ。


観自在寺の本堂。昭和34年に失火で焼失したものを建て直したもの。すっきりと美しいシェイプ。


本堂内部。御本尊は薬師如来、脇侍に阿弥陀如来と十一面観音を従える。


十二支の寅丑担当を務める虚空菩薩の石像。「五黄の寅」黒ちゃんの仏様である。


松尾芭蕉の句碑が境内に。籠り人を「かごびと」と揃って詠んだ黒ちゃんと竹内記者、お互い教養のレベルの低さを思い知らされた17文字。


納経帳に記された平城山観自在寺の墨書。左の缶バッジは愛南町のマスコット、「なーしくん」が入っていて楽しい。ちょちょっと、この子、しんじょう君に似てませんか。


国道56号沿いの24時間ファミマ「ジョイフル」で朝ごはん。竹内記者は朝からカレー、若いなあ。「君はイチローか!」(笑い)。


国道の電光掲示板。これから我々が向かう宇和島方面はチェーン規制。凄まじい寒波が愛媛にも届いている。


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