Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

38日目「まさかの雪中遍路、観自在寺は寒自在寺だった」(2014年12月18日)

歩数 18301歩
距離 13.1km

 昨日、冷たい雨の中を歩いて松尾峠を越えた「尺取り虫遍路隊」は、この日は愛南町営「一本松温泉 あけぼの荘」に泊まっていた。松尾峠越えで冷え切ったカラダにとって、一本松温泉の透明で熱いお湯はなによりのご接待であった。「あけぼの荘」は国道56号線沿いの日帰り温泉施設で、宿泊もできる。ロードサイドの看板にデカデカと「遍路の宿 釣人の宿」と書かれてあるのを発見してふたりで大笑い。普通はこのふたつを兼務する人はいないだろうから「あけぼの荘」は「お遍路さんでもあり釣り人でもある」の黒ちゃん竹ちゃんコンビのためにできたような宿なのである(なんのこっちゃ)。

 夜中に大風が吹き、窓ガラスを激しく叩く音が聞こえていた。朝起きて窓の外を見ると地面がうっすらと白い。ウソッ!、いや、ホントである。昨夜の大風が大陸からこの愛媛県最南端の地まで雪を運んできたのである。四国遍路でまさか吹雪に見舞われるとは想像すらしていなかったので、天候が回復するのを待ってゆっくり出かける手もあったのだが、「チェックアウトは9時でお願いします」とフロントのお兄さんに追い出されたので、しぶしぶ完全防寒モードの身支度をして吹雪の中を出発した。
 「まあ、寒かったら喫茶店をハシゴして体を温めながら尺取り虫方式で行けばいいじゃん」と楽観モードで県道299号線を札掛方面に進路をとるも、考えが甘かった。札掛に向けてクネクネと山あいを縫う遍路道には喫茶店はおろか人家さえもない。風速15m超の冷たい風を全身に浴びながら、まさかの雪中遍路である。「八甲田山じゃなくて、愛南町 死の彷徨、なんちゃって」と茶化してみても竹内記者は反応してくれず、ますます心が重くなる。
 でも、城辺(じょうへん)に入ってすぐのところにあったお遍路さんの休憩所「いっぷく堂」には助けられた。束の間だったが寒風から避難することができ、汗で濡れた下着を着替えることができた。「山茶花クラブ」という団体が、お遍路さんのサポートのために作った施設のようで、屋内にはカマドがしつらえてあり、薪や羽釜、玄米まで備えてあった。夏場ならば宿泊もできそうだ。

 さて。「いっぷく堂」で大川栄策『さざんかの宿』をアカペラで歌い一服したあと(ホント)再び寒風の中の行軍に戻った。御荘(みしょう)の町の中心部にある観自在寺までは、僧都(そうず)川の土手沿いに遍路道が敷かれているのだが、北西の季節風がもろに正面から当たるので、ものすごく寒い。今日だけは最悪の遍路道である。風に負けまいと前のめりの姿勢で歩きながら「これって、まるで映画『砂の器』の1シーンのようだね」と同意を求めるが、竹内記者はピンとこないようでまたもや反応なし。ひょっとしてあの映画を観ていないのかもしれない。
 午前11時半、ようやく市街地に入った。とにかく温かいものが食べられそうな店を探して、最初に目に飛び込んできた看板を頼ってお店に突入した。食事処「亀一」はまだ開店前で店のお姉さんが店内を掃除中だったが、拝み倒してなんとか入れてもらえた。

 かくして、黒ちゃんは亀一の日替わりメンチカツを、竹内記者は天丼を胃袋に収めて「愛南町 死の彷徨」から生還することができたのであった。ここまでくれば、寒自在寺じゃなかった、観自在寺はもうすぐそこである。

ここで一句
メンチカツ 一片(ひとかけ)で生き返る 雪へんろ
黒笹慈幾


愛南町営一本松温泉「あけぼの荘」が2日目の宿。お遍路さんと釣り人の両方にアピールする大看板。ロビーには90cmオーバーのマダイやメータークラスのクエの魚拓が貼ってあった。


吹雪をついてのお遍路はこんな感じの防寒スタイル。北アルプス登山の経験がある竹内記者、寒さに慌てる黒ちゃんを尻目に、なんとなく余裕を見せている。


愛媛に入ったとたん、こんなおしゃれなバイリンガル看板が出現。伊予路もなかなかやりますな。


札掛から城辺に向かう県道299号線沿いには、このような風情のある遍路道がたびたび現れる。


雪混じりの強風から逃れてひと息つくことができたお遍路さん休憩所「いっぷく堂」の外観。


「いっぷく堂」の内部。まるでタイムマシンで昔に戻ったかのような羽釜やカマドが用意されていた。


「いっぷく堂」の近くには白や赤の山茶花の花が咲いていた。休憩所を運営している山茶花クラブの名前の由来はこれですね。


城辺の文旦畑には、壁のように美しく刈り込まれた杉の防風林が。宿毛から愛南にかけて見られる風景。


僧都川の土手の遍路道。冷たい強風に吹かれる本日最悪の遍路道でした。思い出すだけで寒気が走る。


「愛南町死の彷徨」から黒ちゃんを救ってくれた愛南町「亀一」のメンチカツ。アツアツで美味しかったなあ。


同じく「愛南町死の彷徨」から竹内記者を救った「亀一」の天丼。嵐のようにかきこんでいた。


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