Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

37日目「ウワサの居酒屋「いごっそ」のトロ三兄弟に初見参」(2014年12月17日)

歩数 19759歩
距離 14.2km

 それにしても、総選挙シフトでお疲れ気味の竹内記者にエネルギーを充填しようと訪ねた昨夜の居酒屋「いごっそ」はすごかった。地元で評判の店だとは聞いていたがこれほどとは。場所が宿毛中心部の飲屋街からかなり外れた新興住宅街の入口だと聞いたので、ファミレスの延長線系の居酒屋かと油断していた。ところがタクシーが停まったのは、まぐろ料理専門店の前だった。「えっ、これが居酒屋なの?」と竹内記者と顔を見合わせたくらい立派な店構えである。運転手さんの「そんなに高くありませんよ」いう言葉を信じてお店に入る。午後5時のお店は酒飲みには早すぎるのか他に客はいない。メニューには刺身、にぎり、まぐろステーキなどそうそうたる顔ぶれが並んでいるが、なんとなく気後れして、正面から攻めきれず「イカマヨ和え」と生ビールという搦め手から攻めることに。
 じつは、このお店を教えてくれたのは片島港でダイバーや釣り師向けの渡船業を営むAさん。10月のお遍路ードで柏島から竜ケ迫までの臨時遣唐使船を手配してくれたあの人である(31日目のブログ「柏島から遣唐使船に乗る」参照)。そのAさんにFB(フェイスブック)で「いごっそ」で食事中です、とつぶやいたらすぐに店長さんが現れて「いまAさんから電話で料理の注文を受けたので、これからそれを出します」という。我々が攻めあぐねているうちに援軍が電話で正面攻撃を仕掛けてくれたのである、ありがたいことである(なんのこっちゃ)。

 結局、黒ちゃんと竹内記者は、さっきは気後れしてスルーせざるを得なかった「背トロ、赤身、大トロの刺身三種盛り」と「背トロ、中トロ、赤身、大トロのにぎり」と「まぐろステーキ」をすべて胃袋に収めることができたのである。Aさん、ごちそうさまでした。ちなみにこの日「いごっそ」で出されたマグロは、背トロ、中トロ、大トロのトロ三兄弟は地中海クロマグロ、赤身は太平洋クロマグロだった。
 あっ、感想がまだでしたね。ふふふ…それはそれは、竹内記者にエネルギーを充填してもまだまだ余っちゃうくらい、筆舌に尽くしがたい至福のお味でした。黒ちゃんは特に背トロにしびれましたね。通常は中トロと一緒に扱われてしまうパーツなんだそうだが「いごっそ」では区別して出していた。口の中に広がる脂の風味が、わずかに中トロより優れているように感じました「ごっくん」。

 前夜泊まった宿は片島港の河野旅館で、隣に河野釣具店。つまり旅館と釣り具店の両方を経営しているのである。たぶんこんな複合商業施設は日本でここだけだろう、釣り天国・高知にふさわしいビジネスモデルだ(笑い)。ご主人の河野正和さんに「どっちが先ですか?」と聞いたら「旅館が先。おじいちゃんの代からやってました」という。じゃあ、日本で唯一の「釣り具店付き旅館」と表記しておきます。「お正月にここでゆっくり泊まりながら釣りしたいね。エサも仕掛けも心配いらないし」と竹内記者と意気投合した黒ちゃんです。

 さて。前夜のまぐろのトロ三昧で十分なパワーをつけて、いよいよ伊予路のスタートである。本日のコースは、宿毛市小深浦から大深浦を経て松尾峠を越え、愛媛県愛南町一本松までの14kmあまり。江戸期の往還をたどる「松尾坂へんろ道」である。
 午前9時に片島の河野旅館を出発したのだが、いきなり冷たい冬の雨に打たれながら歩く。黄色い大きな実をつけた文旦や、袋をかぶったデコポンの木に見送られながら大深浦の小径をたどる。松尾峠の手前1.7kmあたりからは急にきつい登りになって、息が切れる、足元がすべる。冷たい雨と季節風に責められながらようやく峠に着き、大師堂の前で濡れた下着を着替えていると、今まで頭上を覆っていた厚い雲が切れて、雲間からいきなり日差しが差しこみ、大師堂の脇のカエデの紅葉がボウっと浮き上がった。二人とも言葉を失った。
 前夜のトロ三昧で浮かれていた二人に、「伊予路もしっかりお遍路しなさい」というお大師さまのお叱りが、雨あがりの松尾峠で待ち構えていたのである。

ここで一句
文旦の 雨あがるなり 大師堂
黒笹慈幾


居酒屋「いごっそ」のマグロ刺身3種盛り。上から大トロ、背トロ、赤身の順。


マグロのにぎり。左から背トロ、中トロ、赤身、大トロの順です。「ごっくん」としか言いようありません。


マグロのステーキ。魚とも肉とも判然としない食味が忘れられません。ボリュームたっぷりで、結局2人がかりでも完食できず。テイクアウトすればよかったなあ。


河野旅館主人兼河野釣具店主人の河野正和さん(60歳)と。あくまで仕事優先で宿毛湾の釣りを毎日ちょっとだけ楽しむ生活を満喫していると話してくれた。羨ましいなあ。


松尾峠までの道。文旦とデコポンの畑の脇を通るステキなルート。冬遍路はつらいけど、こういう景色はこの季節だけのもの。春の花の季節もきっといいだろうな。


いよいよ伊予路を実感させる道しるべ。


冷たい雨に濡れるへんろ道の標識。急登攀の山道のあとわずか600mが遠くてつらい。


松尾峠の大師堂の軒先を借りてひと休み。汗と雨に濡れた下着を乾いたものに着替えていると不意に雲間から太陽が顔を出した。お大師さまのサブライズ、凄すぎる。


松尾峠は周囲を竹林と桧林に囲まれていて眺望は期待できない。


松尾峠から脇道を700mほど進むと宇和海の眺望が素晴らしい展望台に出る。雨に煙る正面方向か柏島、右手にうっすらと沖の島、鵜来島の島影が望める。


全身冷えきってたどり着いた一本松の食堂「大盛屋」で遅めのランチ。おばちゃんの作ってくれたアツアツのチャンポンで生き返りました。


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