Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

34日目「小雨をついて延光寺参り。久しぶりに納経帳を取り出す」(2014年10月23日)

歩数 28780歩
距離 20.7km

 お遍路の間いつも首から下げて歩いている「シルバーレイククラブ」の釣り用ショルダーバッグの中身を点検した。大丈夫、今回はちゃんと入っている。納経帳のことである。前にも書いたが、納経帳を忘れて慌てて家に取りに戻ったことがある。寄り道たっぷりの尺取り虫遍路をやっていると、なかなか次の札所が視野に入らない。ついお遍路をしていることさえ忘れてしまうのである。
 調べてみると納経帳を開くのは7月24日、38番札所金剛福寺にお参りして以来、ちょうど3か月ぶりということになる。なんだか少し後ろめたい。
 「お大師さま、納経帳は開かなくても片時も忘れたことはありませんので、お許しください」

 昨晩泊まった農家民宿「森本まる」の料理と、超辛口のどぶろくは素晴らしかった。女将の森本文さん流の控えめだが念の入った「土地へのこだわり」が、料理の味にも酒の味にも滲み出ていた。これぞ「三原村のテロワール(土地の匂い)」だな、と思った。土鍋で炊いたアツアツの三原の新米も素晴らしい香りで、竹内記者はこの炊きたてご飯をツマミに冷たいビールを飲んでいた(笑い)。黒ちゃんはイノシシの焼肉で山盛りご飯を2膳いただいてしまった。森本さん、ごちそうさまでした。龍馬パスポートの特典のどぶろく1合、重たいので今回は置いていきますが、次に来る時までキープしておいてくださいね。

 同宿したお遍路の先達Mさんの話が凄まじかった。四国八十八ヶ所霊場会公認の先達(せんだつ)とは「弘法大師信仰を拠り所とし、巡拝修行に勤め、さらに、模範・指導者として四国88カ所の道案内をはじめ、巡拝道や札所寺院に関する知識を身につけ、人々を遍路へ誘い、適切な指示や助言を行う役目のある人」(遍路三宝会のHPより)のことで、言うなれば「お遍路のコーチ」のような身分の人だ。昭和17年生まれだというMさん、四国88箇所を最短20日間で歩いたことがあるというものすごい健脚の持ち主で、その日も38番金剛福寺から40km、10時間を一気に歩いて三原村に入ったのだという。我々が汗をかきかき、やっとのことで小筑紫から20kmを歩いてきたその距離の倍である。ルートこそ違え、金剛福寺からここまでのんびり11日間を費やして歩いてきた竹内記者と黒ちゃんは互いの顔を見合わせ、絶句した。
 「Mさんは新幹線遍路、我々は各駅停車遍路だね」と黒ちゃん、「いやいや、それじゃあ生ぬるい。あっちはリニア遍路!」と竹内記者。どっちにしても「先を急がない」と固く心に決めた尺取り虫遍路派の我々とは住む世界が違う人だったが、とても楽しい異文化セッションだった。

 おいしい野菜たっぷりの朝ごはんを堪能して、森本まるを出発したのは9時前だった。三原村から延光寺までは県道21号線を中筋川沿いに下る退屈な13kmであろ。ただ、三原村→延光寺ルートはお遍路さんのメインルートなので「お遍路さんこっち→」マークが次々に現れる。なんだかとっても気分がいい。38番金剛福寺からここまで、お遍路さんの本流ルートを大きく外し遠回りの支流ばかりを歩いてきたが、再びここでお遍路の保守本流復帰である(なんのこっちゃ)。
 途中で小雨が降り出したが、延光寺に着くころには上がった。レインウエアを脱ぎ、清々しい気分で本堂と大師堂に参拝する。ご本尊の薬師如来は本堂の奥に鎮座しておられて、表情までは見ることができなかったが、久しぶりにかしこまって真言の「おん、ころころ、せんだり、まとうぎ、そわか」と、ご詠歌「なむやくし しょうびょうしつじょのがんこめて まいるわがみを たすけましませ」を奉じる。
 大師堂の奥のお大師さまのほうは、かろうじて表情を拝することができた。優しい慈愛に満ちた眼差しであった。真言の「南無大師遍照金剛」を3度唱えると、とても心が落ち着いてきた。
 「お大師さま、ずいぶん遠回りしましたが、やっと戻ってまいりました」
黒笹慈幾




土鍋でアツアツ炊きたての三原米の新米。美味しすぎて食べすぎました。


イノシシ肉が大好きな黒ちゃん、この焼肉にはまいった。歯ごたえシッカリ、脂肪タップリでご飯を2杯もいただいてしまった。


どぶろく特区・三原村を代表する超辛口のどぶろく「桂」。森本まる特製のあ酒だ。高知市内でもいくつかのお店と酒屋さんに出しているそう。


農家民宿「森本まる」の野菜タップリ朝食。焼き魚はアメゴではなく鮎でした。


農家民宿「森本まる」の女将、森本文さんと記念写真。ごちそうさま、また来ます。


「森本まる」のある三原村宮ノ川の風景。ここでとれるお米で作ったどぶろくとお米、野菜が食前に並ぶ。


久々に出会う「お遍路さんこっち矢印」。なんだか懐かしい。


赤亀山延光寺の象徴がこのウミガメ。頭を撫でるとご利益があるかも。


延光寺本堂。御本尊は薬師如来。薬壷を手にのせた病気快癒の仏様である。


薬師如来の真言。


久しぶりに四国霊場の仏さまにお参りして、粛然とした気持ちになる。


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