Let’s go o-henroad! 「お遍路ードプロジェクト」について

4日目「私設展望台でご接待」(2014年5月13日)

歩数 17652歩
距離 14km

 お遍路ード4日目の行程は、2泊した土佐市のホテルから宇佐の36番札所青龍寺までの12kmほど。距離的にはほんの半日コースだが、途中「塚地峠」という歩き遍路の難所がある。トンネルを使えばわずが10分くらいで通過できるが、ここはがんばって、昔から使われてきた峠越えの古い遍路道を選んだ。塚地峠の標高は190m、塚地峠越えは標高差140mの急峻な山道を越えるルートであった。塚地峠越えの道は、高知県が唯一遍路道の史跡指定を検討している歴史ある道だそうで、昔はお遍路さんだけでなく、宇佐で獲れたカツオを土佐市に運ぶカツオ道でもあったという。

 きれいに整備された登山道は一歩足を踏み入れるとまるでエアコンをめいっぱい利かせたフィットネスクラブのように涼しい。日差しも周囲の杉林が遮ってくれるのでものすごく気持ちがいい。時間を惜しんでトンネルの中を排気ガスと車の騒音を背負って歩くか、時間を捨てて気持ちのいい歩きを選ぶか。先を急がない黒ちゃんは迷わず後者を選んだのだが、この選択がとんでもない幸運を呼ぶとは、さすがのお大師様も予想できなかっただろう。

 30分ほどの快適だが急峻な山道を登り切り、塚地峠の看板の横で休憩していると、宇佐側の山道をにぎやかに登ってくる5人ほどの私と同年代の男女の集団に出会った。これから宇佐に下るところだと言うと、「すぐそこに景色のものすごい場所があるから一緒にどうぞ」と誘われた。塚地峠から大峠に向かうハイキングルートからちょっと東に外れたところにその私設展望台はあった。

 「私設」と書いたのは文字通り、彼らが自分たちが楽しむために作った民営の(笑い)展望台だったからである。極太の孟宗竹で作られた居心地のいいベンチが3つ、宇佐湾を見下ろす絶好の位置に据えられている。宇佐湾から吹き上げてくる風が汗をさあっと運び去っていく。なんという心地よさ、なんという美しさ。「きっとこれは、歩き遍路さんだけに塚地峠が用意してくれたご接待なのだ」と心からそう思う。

 結局、この私設展望台で小一時間ほど休憩して山道を宇佐に向けて下り、港の入り口に関所のように構えているひるめし処「宇佐もんや」に到着したのは12時少し前だった。塚地峠の熟年集団に「宇佐で昼ごはんを食べるとしたら、どこでしょうかねえ」と聞いて間髪入れずに返ってきたのが「宇佐もんやのウルメ丼」だったのだ。

 昨日のランチは狙っていたクジラカツ丼が売り切れだったので、ひょっとして今回も…、と少し心配だったが、「漬けのウルメ丼」は大丈夫だった。よく漬かったウルメイワシの刺身を熱いごはんの上に乗せ、上から刻みネギと海苔、おろし生姜をふりかけてある。少し濃いめの味付けながら、とれたての新鮮なウルメイワシを使わなければ作れない素朴で上品な味の丼でした。

 店のおかみさんに聞くと、お遍路さんの立ち寄りは意外と少ないとのこと。よくよく考えてみれば黒ちゃんみたいに遅い出発(朝8時半)でかつ塚地峠越えというのんびり遍路さんしかランチタイムにこのお店の前を通過しないから当然といえば当然かも。黒ちゃんみたいな「のんびり遍路さんが増えると、宇佐もんやが儲かる」って。(なんのこっちゃ)

 今日の目的地36番青龍寺まではあと1時間弱。「宇佐もんや」の商売繁盛を祈りながらおかみさんに別れを告げた。
黒笹慈幾


塚地峠で休息。そろそろ下ろうかというときに宇佐側から5人の熟年男女が、登ってきた。


かつての古い遍路道が通っていた塚地峠の道標。ここからの眺望はゼロ。


熟年男女たちに案内された私設展望台。宇佐湾を一望できる素晴らしい広場。コーヒーとおせんべいのご接待を受けました。


宇佐湾を睥睨する場所でこのように昼寝もできる。でも黒ちゃん、これは涅槃像のつもり。


「宇佐もんや」の「ウルメ漬け丼」500円なり。宇佐は新鮮な一本釣りのウルメイワシが水揚げされる港町。



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これまでの日記一覧

2014年5月

・10日目「9日かかった道を1時間で帰る」最新
・9日目「ホトトギスの声の目覚ましで目が覚めた」
・8日目「歴史ある遍路道を台無しにする高速道路」
・7日目「トンネルの天国と地獄」
・6日目「釣りの禁断症状を治す」
・5日目「アイルトンセナのマネして疲労困憊」
・4日目「私設展望台でご接待」
・3日目「雨遍路は空身遍路がいい」
・2日目「お大師様カットでお願いします」
・1日目「うれしい無料洗濯サービス」