2023.04.18 08:44
「絵金」大阪で大規模展4/22から 半世紀前のブーム以来、関係者やファンは拡大期待
大阪への運搬を前に、俳句と絵金の号「友竹」が書きつけられた横のぼり「近江源氏先陣館 盛綱陣屋」の状態を確認するあべのハルカス美術館の学芸員ら(香南市の絵金蔵)
絵金の作品が全国的な注目を集めたのは、およそ半世紀前。1966(昭和41)年、雑誌「太陽」で特集されたのをきっかけに首都圏や関西でも次々と展覧会が開かれ、映画や舞台、小説などの題材にも多く取り上げられるなど、70年前後にかけて一大ブームを巻き起こした。
会場に展示される「養老の滝図 龍虎図」(香南市の西川屋赤岡旧本店)
ただ、展示の中心は、やはり本県で受け継がれてきた絵金の芝居絵屏風。うち21点は、絵金蔵に寄託されている「浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま) 鈴ケ森」「伊達競阿国戯場(だてくらべおくにかぶき) 累(かさね)」などの県指定保護有形文化財だ。
絵金蔵の作品は、2010年に起きた燻蒸(くんじょう)による変色事故を機に19年から進められてきた全作品の本格修理が今年3月末に終わったばかり。今回は、その披露を兼ねた展示にもなる。
「絵金という優れた絵師が、今ではあまり知られていない。多くの人に知ってほしい」と話すのは、同美術館の上席学芸員、藤村忠範さん(59)。あべのハルカスが開館した10年ほど前から構想していたそうで、修理が完了したことでようやく実現したという。
藤村さんは今月10日に来高し、絵金蔵や、絵金が手がけたのぼり「養老の滝図 龍虎図」を所蔵する西川屋赤岡旧本店(香南市)などを訪問。ライトを手に作品表面の痛みや汚れを確認し、梱包(こんぽう)を見届けた。
絵金蔵の蔵長、沢田美枝さん(67)は「事故のおかげで、修理しようと町全体で前向きに頑張れた」と、お披露目を控えしみじみ。絵金蔵運営委員会の浜田義隆会長(57)は「屏風は迫力があり、隠し絵もあって楽しめる。みんなに喜んでもらいたい」と話していた。
特別展は前期が22日~5月21日、後期は同23日~6月18日。観覧料は一般1600円など。(玉置萌恵)