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2023.03.25 08:39

都市計画道路が後免町商店街〝分断〟 信号設置、警察指針で断念 迂回強いられ住民不満 南国市

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整備が進む南国駅前線と後免町商店街の交差地点。写真右奥の信号が電車通り交差点(南国市後免町1丁目)

整備が進む南国駅前線と後免町商店街の交差地点。写真右奥の信号が電車通り交差点(南国市後免町1丁目)

 南国市の後免地区で整備が進む都市計画道路南国駅前線が、後免町商店街を〝分断〟することになった。市は当初、駅前線と商店街が交わる地点に信号機を設置し横断できるようにするつもりだったが、信号機間の距離を定めた警察の指針に抵触し、泣く泣く断念。信号機は交差地点から60~70メートル離れた場所に設置される見通しで、迂回(うかい)を強いられる市民からは「歴史ある街の往来ができなくなるのは寂しい」などと落胆、不満の声が上がっている。

 駅前線はJR後免駅から南国バイパスまで、市中心部を南北に貫く延長約1・2キロの計画。2011年に県の事業認可を受け、これまでに電車通りの南側約380メートルの整備が完了した。現在は後免駅に至る北側約410メートルの間で工事が進んでおり、その間に東西約400メートルにわたる後免町商店街が位置する=地図参照。

 片側2車線で幅約25メートルの新道路が商店街を突っ切ることになるが、商店街の通りも中心部の住民にとっては大事な生活道。信号機と横断歩道を設ければ、不便は最小限に抑えられるはずだったのだが…。

 ネックになったのが、警察庁が15年に定めた指針だ。車の滞留を抑制するため、信号機間の距離は150メートル以上取る必要があるとされた。だが駅前線と商店街の交差地点から、電車通りにある既存の信号機までは約80メートル。また商店街の道路幅は約5メートルと狭く、車が進入や信号待ちする間、歩行者の待機スペースが確保できないことも指針の条件を満たさなかった。市の要望に対し県警は22年度に「設置できない」との結論を伝えた。

 市も簡単には諦めず、同年10月には平山耕三市長や住民が信号設置を求める約370人分の署名を県警に提出。県警は交差地点の北側に建設が予定されている市立図書館への進入路前に信号機を設置する次善策を提案し、市も受け入れることにした。交差地点で危険な横断が生じないよう、駅前線の中央分離帯に可搬式バリケードを設ける方針も決めた。

 今年2月に開かれた市の住民説明会では、参加者から「分離されると歴史ある街が消滅してしまう」「迂回しないと街を行き来できなくなると高齢者はつらい」と反発も。市民の間には「県警が歩み寄ってくれた面もあるし、中央分離帯も安全の面からは仕方ない」と理解を示す向きもあるが、「最低でも押しボタン信号は欲しかった」との不満は今もくすぶる。

 市都市整備課は「市としても商店街の分断は何とか避けたかった。道路整備後の往来には不便が出るが、苦渋の決断として理解を求めたい」としている。(海路佳孝)

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