2023.03.21 08:37
四万十川アオサノリ連年大不振 葉が育たず、漁協「養殖の存廃危機」
アオサノリが生育しないまま収穫期を迎えた養殖場(写真はいずれも四万十市下田の竹島川)
四万十市下田の四万十川河口域で養殖されるアオサノリ(ヒトエグサ)が今季、全く収穫できない状況に陥っている。収穫期を迎えても葉が生育しておらず、昨年に続いて収量ゼロとなる見通し。養殖業には二十数軒が従事しているが、四万十川下流漁協は「産業として消えかけている」と危機感を募らせている。
胞子は網に定着したものの、葉は成長していない
市のまとめによると、昭和期は同漁協取り扱い分の収量が20~40トン台に上る年もあったが、平成に入って低迷。2017年以降は10トンを切るようになり、昨年はゼロだった。同漁協の山崎明洋組合長(39)によると、今季は胞子が網に定着したものの葉が成長せず、収穫は見込めないという。
また、近くで採取される天然スジアオノリも20年から収量がほぼゼロに。こちらも今季の収穫は見込めないといい、極度の不振が長引いている。
高知大学の平岡雅規教授(55)=海洋植物学=は「スジアオノリは15度前後の低水温でよく成長するため、温暖化の影響が大きいとみられる」とする一方、沖縄でも多く養殖されるアオサノリはより高い水温を好むといい「温暖化による説明は難しい」。市農林水産課も「環境変動など複合的な要因と思われるが、解決策を見いだすのは難しい」と頭を抱えている。(福田仁)