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2023.03.20 08:35

自分の「好き」を土台に ケーブルテレビ番組制作 浜田明子さん(33)四万十市―ただ今修業中

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菜の花にカメラを向ける浜田明子さん。「花が咲いていると、映像で使えないかと思ってつい見ちゃう」(黒潮町入野)

菜の花にカメラを向ける浜田明子さん。「花が咲いていると、映像で使えないかと思ってつい見ちゃう」(黒潮町入野)


 黒潮町の町営ケーブルテレビ局「IWKTV」。地元の多彩な話題を届ける自主制作番組を手がけるのは、同町のNPO法人砂浜美術館映像部のスタッフ4人だ。その1人として、撮影取材や映像編集をこなす日々を送っている。

 産休や育休を挟んだため、通算キャリアはまだ1年半。でも近頃は、町内で買い物をしていると「あっ、テレビの人!」と児童らから声をかけられるようになった。「運動会や入学式の取材で、顔を覚えてくれたんだと思う。うれしいし、かわいいです」。そう言ってほほ笑んだ。

 ◆

 好きなもの。生き物、花、そしてカメラだ。

 初めて手にしたのは小学生の頃。同町下田の口の実家にあった家族の誰も使わないフィルムカメラで、近所の花や友達など、身近な被写体にレンズを向けた。「撮ったものが残るのが楽しくて。何年たっても思い出せるところが好きだった」

 熱は冷めず、その後もお小遣いで買える範囲でデジタルカメラなどを購入。現在所有する一眼レフは6台目の愛機だ。

 地元で働きたいと思い、2017年にNPO法人砂浜美術館に入る。1年目は公園管理を担当し、Tシャツアート展などの主催イベントには自前の一眼レフを手に参加。アマチュアカメラマンに交じって、夜明けの砂浜やTシャツを撮影した。

 2年目、欠員が出た映像部に移った。予想外の異動だったが「カメラ慣れしているから向いていると思われたのかも」。実際に取り組んでみると、写真と動画はまるで違った。

 例えばニュース。写真なら一場面あれば何とかなるが、動画はさまざまなシーンをいくつも撮っていないと、手の込んだ編集はできなくなる。さらには、音も重要だ。誰かが話す生の声は、撮影者が意識しないととれないものだという。

 最初は編集に時間がかかり、30秒の告知動画を作るのに1~2日要したこともあった。「今? 半日かな。集中すればもっと早くできます」。口ぶりに、ちょっぴり自信がにじんだ。

 ◆

 主に担当しているのは、毎週水曜日の「IWKNEWS」。地域の祭りや避難訓練といった町の出来事をつぶさに紹介する番組で、現場でカメラを回し、編集して映像にまとめている。

 難しさは日々実感している。例えば、児童が地元産品をPRした発表会。わが子の頑張りをテレビで見たらうれしいはず―。そう考え、児童が話している場面はできるだけ残した。約2時間の会を10分にまとめたが、上司は「長すぎる。親はうれしいろうけど、一般の視聴者からすれば『まだやりよう』ってなるで」とばっさり。誰にとっても見やすくなければいけない―。改めてそう気付いた。

好きな言葉

好きな言葉

 いずれは大人も子どもも楽しめ、かつ自身の興味がある分野で番組を作りたいと思っている。思い描くのは、町内の生き物を紹介する番組だ。最初の狙いは町の鳥、シロチドリ。砂浜で卵を温める様子は昨夏に撮れたが、番組を作るには、ひなのふ化や水浴びといった映像が、もっともっと必要だ。

 「自分の好きなことを土台として、その上で何ができるか。思いつくことは限られるけど、できるだけ形にしたい」

 生き物たちが活気づく春。負けじと自分も、機材を担いで町を駆ける。

 写真・反田浩昭
  文・河本真澄

高知のニュース 四万十市 ただ今修業中 ひと・人物

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