2023.03.05 08:39
小さな手に励まされ…低出生体重児に合わせて成長を記録 高知県が「こうちリトルベビーハンドブック」、不安持つ保護者に寄り添う
小さく生まれた子どもの成長を記録できる「こうちリトルベビーハンドブック」
子どものイラストやメッセージもふんだんに盛り込まれている
県内では2021年に4090人の赤ちゃんが生まれた。このうち体重2500グラム未満の低出生体重児は410人、1500グラム未満は35人。高知医療センター小児科長の中田裕生医師によると、1500グラム未満で生まれた赤ちゃんは新生児集中治療室(NICU)に入り、人工呼吸器を着けるなどする。成長や発達がゆっくりになる傾向があるという。
これまでの母子手帳は発育曲線のグラフが体重1キログラムで始まるほか、生後3カ月ほどの子に向けた「あやすとよく笑いますか」といった発育状況の質問も、小さく生まれた赤ちゃんには当てはまらないなどの課題があった。中田医師によると、手帳に記録を書き込めないことで、落ち込む保護者もいたという。
リトル―は県内保護者の要望で作成。主に1500グラム未満で生まれた赤ちゃんが対象で、発育のグラフは0グラムで始まるほか自由記述欄も多く、母子手帳と合わせて個々の成長に合わせた記録を残すことができる。
Q&Aでは「お座りがなかなか出来ない」という不安に対し「特に低出生体重児は頭部が大きく、体がややきゃしゃなことが多い」「うつ伏せやよつばいをすることで、次第に必要な力が出来る」などと回答。
保護者の「自分を責めていたけど、保育器の中の温かい小さな手に励まされた」「挿管された状態で初めて抱っこできた日の感動は忘れられません」といった声のほか、743グラムで生まれ、小学6年生となった子の「卓球の大会で優勝することができました。将来小さな赤ちゃんを助ける看護師さんになりたいです」といったメッセージも盛り込んでおり、不安を抱える保護者らを勇気付ける内容になっている。
妊娠29週で691グラムの女の子を出産した高知市の瀬戸貴有さん(43)は「周囲に同じ経験をした人がおらず、寂しかった。メッセージを読むと、自分一人ではないと思えて心強い」。従来の母子手帳には何も書き込めていなかったそうで、ハンドブックに「娘が着実に成長していることを記録に残したい」と話していた。
リトル―は、県内のNICUのある医療機関や市町村で配布している。(石丸静香)