2024年 03月29日(金)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知龍馬マラソン2024写真販売
高知新聞PLUSの活用法

2023.02.03 08:40

車いすラグビー・高知拠点に全国V フリーダム、20年越しの夢 創設者ら「最高の瞬間」

SHARE

初の全日本選手権優勝に輝いたフリーダム。創設者である畑中功介=2列目右から2人目、和田将英=前列右から4人目=の20年越しの夢が実った(千葉ポートアリーナ)

初の全日本選手権優勝に輝いたフリーダム。創設者である畑中功介=2列目右から2人目、和田将英=前列右から4人目=の20年越しの夢が実った(千葉ポートアリーナ)


 高知県を拠点に活動する車いすラグビーチーム「フリーダム」(渡辺翔太代表)が1月20~22日に開かれた全日本選手権で初優勝に輝いた。チーム設立から10年余り。選手集めの苦労や、試合に出られなかった時期を知る古参メンバーは「ここまで長かった」。喜びをかみしめている。

選手集めの苦労乗り越え
 設立のきっかけは20年ほど前。創設者の一人である畑中功介(50)=香南市=が「車いすラグビーという競技がある」と耳にしたことだった。県内はおろか、中四国にもチームがない時代。「その頃、自分はツインバスケットボールをやってたんですが、面白そうやなと」。関西まで練習を見に行き、激しいタックルに衝撃を受けた。「ツインバスケは接触すらいかんから。『この人たちは何をやりゆうが』と」。半ばあきれつつも、その迫力にひかれた。

 盟友である和田将英(60)=大川村=とともに5年ほど県外のチームで経験を積み、フリーダムの前身となる「チョッパー」を組んだ。ただ、メンバーは3、4人。試合にも出られなかった。それでも地道に活動を続ける中、勧誘したのが日本代表の現主将・池透暢(ゆきのぶ)(42)=高知市=だった。「チョッパー」結成から2、3年後のことだった。

 当時、池は車いすバスケに打ち込んでおり、日本代表合宿にも呼ばれ始めていたため、「池君はなかなかなびかんかった。顔を合わせるたびに『そろそろラグビーやってみんかえ?』と2、3年声を掛けた」。池も、2012年のロンドン・パラリンピックで4位に食い込んだ車いすラグビー日本代表の試合を見て、「自分がパラでメダルを取るにはどうすべきか…」と思案。熟考の末、畑中に「ラグビー、やります」と告げた。

 池の加入に合わせてフリーダムに改称。池と同時期に東京から参加した現チーム代表の渡辺を皮切りに、鳥取、京都、大阪、兵庫、北海道からも選手が集まるようになった。今ではメンバーは10人を数え、全日本選手権では19、20年に準優勝を果たすほどになった。

 そして頂点に立った今年。決勝の第3ピリオドには、和田、畑中、池がそろってコートでプレーした。池は「自分たちにとっては普段の練習の風景でもあるんですけど…。高知でチームをつくってくれた人がいたから、自分もラグビーを始めることができた。2人に感謝です」と振り返る。

 日本一という20年越しの夢の実現に創設者の2人は涙した。畑中は「うれしかった。選手とスタッフと、みんなでつくりあげたチームやから。集大成になった」と感慨深げ。大会の出場選手中、最高年齢だった和田も「言うことなし。最高の瞬間やった」。穏やかに笑った。(井上真一)

高知のニュース 高知のスポーツ

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月