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2023.01.31 08:00

【広域強盗事件】全容解明し不安解消を

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 関東や西日本などで同一グループによる犯行が疑われる強盗事件が相次いでいる。
 「闇バイト」に応じた面識のない者どうしが、強盗団をつくって犯行に及ぶのが特徴で、昨年以降、14都府県で少なくとも計20件発生。住人の女性が殺害された東京・狛江市のケースもあった。警察側は、一部の事件の実行役とみられる三十数人を逮捕した。指示役として、フィリピンの入管施設に拘束中の男らが疑われている。
 いつどこで事件があってもおかしくない頻発ぶりだと言える。犯行は、計画的かつ手荒だ。狙った家の資産や家族構成などの情報をどうやって知り得ていたかも明確になっていない。
 地域を問わず、住民が感じる治安の悪化は数字以上のものがあるだろう。警察当局は犯行グループの摘発と全容解明を急ぎ、不安の早期解消に努めてもらいたい。
 指示役は、交流サイト(SNS)で「日当100万円」など高額報酬をうたって実行役を募集。匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」を使ってやりとりし、首謀者に捜査が及びにくくしていた。
 その手口は、詐取した金を受け取る「受け子」をSNSで募る特殊詐欺と共通する。同じように金品を狙われたとしても、有無を言わさず襲われる強盗の恐怖、凶悪性は言うまでもあるまい。被害対策が浸透する特殊詐欺のハードルが高くなり、強盗へと凶悪化する傾向があるとすれば深刻だ。
 実行役は、犯行グループから抜けられないよう個人情報を握られていたという。報酬に目がくらみ、安易に応じた若者もいたのではないか。SNS上の犯罪・有害情報をどう抑えるか、見る側のリテラシー(読解力)をどう高めていくか、対策の練り直しも求められよう。
 警察庁は3月から、ネット上の違法・有害情報の通報受け付けや、サイト管理者への削除依頼の対象を拡大する。新たに「殺人、強盗」「爆発物・銃器の製造」などの7類型を対象に加え、監視を強化する。
 「タタキ(強盗の隠語)」という言葉があった今回の実行役の募集情報も削除対象になる。ただ、削除依頼に強制力はない。情報がアップされて時間差なく対応できるかも課題だ。実効性を高めていきたい。
 今回の事件では、いびつな犯行形態も明らかになりつつある。「ルフィ」と名乗る人物を含め、指示役の疑いがある日本人4人は、拘束されていたマニラの入管施設から実行役に指示を出していたという。
 4人には特殊詐欺事件で警視庁から逮捕状が出ているが、現地で係争中の事案があるなどとして送還されていなかった。フィリピンでは、自国で捜査を受けたくない外国の収容者が現地事件を捏造(ねつぞう)して送還を逃れることがあるという。矯正施設での不正も続いており、4人の犯行を職員が黙認していた可能性がある。
 事件の全容解明へ、4人の身柄を速やかに確保する必要がある。

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