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2023.01.29 08:35

水ためない「流水型ダム」も検討 高知県の物部川 濁水対策を具体協議へ

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物部川の濁水対策のため、改造が検討されている杉田ダム(香美市)

物部川の濁水対策のため、改造が検討されている杉田ダム(香美市)

 高知県や国、有識者らでつくる「物部川濁水対策検討会」(会長=笹原克夫・高知大教授)はこのほど、三つのダムが土砂をせき止めて起こる環境問題を解決するため、平常時は水をためない「流水型ダム」への改造や、土砂を迂回(うかい)させるバイパス新設などを選択肢として、具体的な協議に入る方針を確認した。

 物部川では三つのダムが泥をため込み、長期にわたり下流を濁らせる被害が長年の懸案に。岩や砂利が下流に移動せず、アユなどの生育環境への悪影響も出ている。

 24日の会合では、事務局の国土交通省高知河川国道事務所が対策案として、ベルトコンベヤーや排砂バイパスを整備して下流に土砂を運ぶ方法を紹介。さらに、最下流の杉田ダムを治水専用の流水型ダムとする案を示した。

 流水型は、平時はダム河床部に設けた放流設備から水と土砂を流す構造で、洪水調整機能に特化させたもの。このほか、ゲート開閉により土砂を流下させるダムや、複数のダムが連係して土砂を流す方法など全国の事例を示した。

 これに対し、委員からは「排砂バイパスも流水型ダムも歴史が浅く、環境への長期的影響が分かっていない。下流の生態系を壊さないようリスクを見極めてほしい」「長い工事期間中に関係者が共存できる水の有効利用を考えるべきだ」「農業用水の確保に配慮を」という声が上がった。

 同事務所の小林賢也所長は「できるだけ急いで検討を進めたいが、三つのダムを治水も利水も環境も踏まえて改造する事例は全国でもない。技術的にも難しいため一定の時間がかかる」との見方を示した。

 検討会は2021年度、流域関係者が連携して土砂を総合管理する提言をまとめた。これを基に、今後2、3年で、ダムの治水容量や放流能力を増やす▽ダムの運用ルールを見直す▽土砂を運ぶ・流す―などの具体策を検討して、着工を目指している。(八田大輔)

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