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2023.01.26 08:00

【細田衆院議長】公開の場で説明せよ

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 細田博之衆院議長が自身と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係について、ようやく重い口を開いた。教団の組織票の差配や政策がゆがめられた疑惑を否定する一方、安倍晋三元首相と教団は「大昔から関係が深い」と証言した。
 細田氏や与党は一連の疑惑に幕引きを図る考えなのだろうが、説明は議院運営委員会理事との「懇談」形式で行われ、非公開だった。内容も具体性を欠いた。国権最高機関の長としても、一人の政治家としても国民に対する責任を果たしたとは言いがたい。重ねて記者会見など公開の場での説明を求める。
 細田氏は議長就任に伴って自民会派を離脱しているとはいえ、教団と接点が多い自民党の中でも、特に教団との関係が深い安倍派の前身、細田派の会長を務めた。党と教団の関係を最も知りうる立場だったといってよい。
 教団との関与が取り沙汰される「日本・世界平和議員連合懇談会」の名誉会長を務めたほか、関連団体の会合に計8回出席したことなど、教団との接点を認めてはいる。だが昨秋に2回、文書を公表しただけで公の場での説明を拒んできた。
 今回の説明も「過去のことを議長の立場で会見し答えるのはふさわしくない」と非公開にした。理解に苦しむ理由である。「三権の長」は最も公正中立であるべきで、率先して疑惑の払拭に努めなければならないはずだ。
 説明の内容も実態の解明にはほど遠かった。細田派会長当時の組織票の差配に加え、政策への影響を否定したが、具体的な経緯や根拠などは示していない。「やましい付き合いではない」との説明をそのまま受け入れることはできまい。
 問題視される霊感商法などに関しても「最近はないと思っていた」と語ったという。そうであるなら国会議員としての情報収集力も問われよう。説明不足は明らかだ。
 旧統一教会問題に及び腰なのは政府や自民党も同じだ。政府は教団に対し、解散命令請求の可否を判断するため、宗教法人法に基づく質問権を行使。霊感商法や高額献金などの被害者を対象とする救済法も、実効性の課題が指摘されるとはいえ施行された。その一方、政治と教団の関係は一向に解明が進んでいない。
 自民党は所属議員への聞き取りは行ったが、調査と言うには疑問が残るなおざりな内容だった。特に、細田氏が「関係が深い」と認めた安倍氏と教団との関係や、その影響は調査さえ行われていない。
 自民党総裁でもある岸田文雄首相も疑惑の解明に消極的で、指導力を発揮しているとは言えない。先日の施政方針演説でも、旧統一教会問題には結びの直前でわずかに触れただけだった。問題の矮小(わいしょう)化を狙ったのではないか。
 旧統一教会問題にしろ、政治とカネにしろ、選挙で選ばれた個々の政治家の説明不足はもちろん、公党に自浄作用が働かないことが有権者の政治不信に拍車をかけている。

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