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2023.01.25 08:00

【民生委員不足】負担軽減し活動支えよ

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 地域福祉の担い手である民生委員の不足が深刻化している。定数に対する欠員数は3年に1度の改選のたびに増え、戦後最大になっている。高知県も例に漏れない。
 少子高齢化が進む中、見守りが必要な1人暮らしの高齢者は増えている。近所付き合いの希薄化も進む中、つなぎ役である民生委員活動の意義は増している。なり手を確保する対策が急がれる。
 厚生労働省のまとめでは、昨年12月の一斉改選で、定数約24万人に対して欠員は1万5千人超に上り、欠員数は3年前より約3割増えた。県内も定数2489人に対して欠員188人で、22人増えた。
 民生委員は町内会などが選んだ住民に厚労省が委嘱する。見守りが必要な高齢者、生活困窮者らを訪ね、必要に応じて行政や福祉サービスに橋渡しする。ほかに、交流サロンの開催や配食サービス、災害時要支援者の把握など役割は幅広い。
 頼りになる人が近くにいない住民にとっては、同じ目線で話せる身近な相談相手であり、存在そのものが安心感につながる。欠員増による地域福祉の後退が懸念される。
 なり手不足の背景には、定年退職後も働くシニア層が多くなり、適任者が減っていることがある。
 見守り対象世帯が増えるほか、地域の課題も複雑化している。プライバシー意識の高まりから、活動しにくくなっている面もある。負担が重くなる中、委員に進んで手を挙げる人は少なく、引き受けたとしても辞退してしまうケースが少なくないのが実情だろう。
 欠員の解消へ、原則75歳未満となっている年齢要件を緩和する自治体は増えている。それでも定員を充足できていない。より踏み込んだ対策が必要な状況だと言える。
 委員は町内会や自治会から選出されるケースが多いが、そもそも町内会の機能が衰えている。地域の実情に応じて、社会福祉法人や企業に役割を広げるなど柔軟な対応を考えていくべきではないか。
 負担軽減のためサポート体制の強化も求められる。高知市など複数の自治体は、OBらがバックアップする「協力員制度」を導入済みだ。課題が専門的になる中、弁護士や精神科医といった専門職の支援を得られやすい仕組みも必要だ。
 民生委員活動は近年、防災分野や悪質商法対策の啓発などカバーする範囲が広がり、会議や研修への参加機会も増えている。活動の絞り込みも検討していくべきだ。
 認知度の低さも課題だと言える。全国民生委員児童委員連合会が一般向けに昨年行った調査では、「民生委員の役割を知っている」と答えたのは5・4%にとどまった。なり手を確保する上で、周知活動の強化は欠かせない。
 併せて、やりがいも広めていくべきだ。ある自治体の民生委員向け調査では、約8割が「やりがいを感じる」と答えた。委員を担うことで得られるものも少なくないはずだ。発信を強めていきたい。

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