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2023.01.25 08:47

大玉実った!砂糖大根「ビーツ」 ウクライナ料理「ボルシチ」材料 世界を歩いた元商社マンの挑戦物語

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畑から引き抜いたビーツを見せる山崎紀夫さん(写真はいずれも南国市稲生)

畑から引き抜いたビーツを見せる山崎紀夫さん(写真はいずれも南国市稲生)

 南国市稲生の農業、山崎紀夫さん(81)は「ビーツ」の栽培に取り組み8年になる。ビーツはウクライナ料理のボルシチの主材料だ。今季は1キロを超える大玉が続々育った。

 ボルシチはロシア料理として知られるがウクライナの発祥で、同国の家庭で広く食されるスープ料理。真っ赤で甘みのあるビーツを切ったり刻んだりして肉や野菜と混ぜ、鍋で煮込む。

 山崎さんは元商社マン。高知工業高卒業後、名古屋市のトヨタ自動車系メーカーなどを経て、28歳から石油や水産物を扱う静岡市の商社に勤め、海外事業部長や取締役を務めた。

 ビーツは商社の仕事で8年ほど滞在した南アフリカ・ケープタウンで知った。同国も寒い土地で、近所の95歳の女性にボルシチをごちそうになり「これは高血圧にも効く長寿の食べ物なのよ」と教わった。

 故郷の高知県に54歳で戻ってほどなく長年心に秘めていた無農薬栽培に挑戦。母親の実家の農地で米や野菜を作り、日本で知られていなかったビーツ栽培に満を持して着手。ケープタウンの友人に種を送ってもらい、春植えから始めた。

大玉は1キロ超え

大玉は1キロ超え

 肥料や土作りに工夫を重ねて、昨年の初夏には1キロサイズの大玉などを100株以上収穫。晩夏にも種をまいた。年の瀬に大雪をかぶったものの土の中の株は無事で、年末と年明けに3畝(うね)で150株ほど収穫した。

 ビーツは砂糖大根とも呼ばれ、日本では輸入品の缶詰の水煮が流通するが、本格的に栽培する農業者は珍しい。「苦節8年目でうまく作れるようになり、初めて冬にも収穫した。食べると体の芯から温まり、栄養価が高く、やはり寒さの厳しい土地の食べ物だなと。これぞ食文化だと思う」

山崎さんのビーツで作ったボルシチ。鮮やかな赤色で独特の香りと大根汁にも似た甘みがある。ビーツの成分は肝臓にも効くという

山崎さんのビーツで作ったボルシチ。鮮やかな赤色で独特の香りと大根汁にも似た甘みがある。ビーツの成分は肝臓にも効くという

 今季は終わったが、収量を増やして南国市の土曜市や飲食店を通じて売り、広くビーツを知ってもらいたいと話す。「コンソメやかつお節で和食の煮付けにしてもおいしい」という。(石井研)

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