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2022.11.30 08:40

高知県南国市の土曜市53年の歴史 顔なじみ集う―フォっトけないす

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往時のにぎわいはないものの、50年以上にわたって親しまれている土曜市(写真はいずれも南国市大埇甲)

往時のにぎわいはないものの、50年以上にわたって親しまれている土曜市(写真はいずれも南国市大埇甲)


 「おはよう」「冷えてきたねえ」。まだ薄暗い早朝から顔なじみが集い、週末の朝が始まる。住宅街の一角で毎週開かれる南国市の土曜市。1969年の開設から53年、往時ほどのにぎわいはないものの〝市民の台所〟はいつも牧歌的な雰囲気だ。

 市制10周年を記念して始まった土曜市。当初は同市後免町の空き地に約120の出店者が並んだ。77年に大埇甲の現在地に移り、92年に市が鉄骨の常設テントを設置。約70台の駐車場が隣接し、雨風を気にせず買い物できるのが売りだ。

 出店者は現在14人。鮮魚や花、手芸品、リサイクル品などのほか、リラクセーションマッサージを提供する店もある。

開設当初から出店している岡林富代さん。客とのおしゃべりが何よりの楽しみだ

開設当初から出店している岡林富代さん。客とのおしゃべりが何よりの楽しみだ

 果物を扱う岡林富代さん(86)は開設時からの最古参出店者。「ここで人と話すのが楽しい。ぼけ防止やね。平日はテレビの守りしゆうだけやき」と笑う。接客中、常連さんに「バナナちょうだい」と声をかけられると「自分のことは自分でしいや」。常連さんは笑顔で「はーい」と応じ、代金を置いて袋に詰める。そんないつもの光景に、周りはくすくす笑いを漏らす。

市には空きスペースも目立ち、四季折々の花や野菜の苗を売る和田豊(みのる)さん(86)は「高齢化と時代の流れやね」とぽつり。それでも「お金は問題やない。ここへ来ると気が晴れるし、人とつながれる」。客や出店者と交わす何げないおしゃべりを楽しみに毎週やってくる。

午前10時になると始まる土佐弁ラジオ体操

午前10時になると始まる土佐弁ラジオ体操

 客がまばらになると、出店者は店を離れたり、そこに別の出店者が留守番で座ったり。緩やかな時間と空間が流れる午前10時、スピーカーから軽妙な音楽とかけ声が響いた。「ほいたら、ラジオ体操第1、やるぜよ~」。恒例の〝土佐弁ラジオ体操〟。みんな黙って立ち上がって上体をそらし、体を回す。心も体もぽかぽかだ。

常連さんも通うリラクセーションマッサージ

常連さんも通うリラクセーションマッサージ

 市場の最奥で鮮魚を販売する市土曜市協同組合長の今田尚さん(68)は言う。「新規出店者も募集しゆうけど、なかなかね。けど、出店者はみんな、売れても売れんでも出てきてくれる。50年以上の歴史があるき、何とか残していきたいね」。12月3日には感謝祭を催し、餅の配布などを予定している。(海路佳孝)

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