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2022.11.11 05:00

【コロナ交付金】ずさんな使途はないか

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 新型コロナウイルス対策関連の予算執行を巡り、妥当性を欠く事例が会計検査院の調査や報告などで明らかになっている。
 未知のウイルスの流行で国民の健康と生活が危機にひんした緊急時にあって、必要な分野に躊躇(ちゅうちょ)なく公費を投じるのはあるべき対応だろう。しかし公費である以上、ずさんな使い方は看過できない。平常時に向けて、財政規律を元に戻していく必要もある。
 検査院がまとめた2021年度の決算検査報告は、全部で310件、計455億円の無駄遣いや不適正支出を指摘した。うちコロナ関連の不適切支出などが100億円超を占めた。
 額が大きいのがコロナ病床を確保した医療機関への交付金で、32医療機関に計約55億円が過大に支払われていた。多くが、制度の理解不足などによる算定ミスといい、自治体側の事務も正確さを欠いていた。
 緊急時に迅速な作業を求められたという事情はあっただろうが、最大で1カ所に22億円も過大支給していた。税金を扱っているという感覚のまひを疑ってしまう。検査院の調査対象は13都道府県にとどまっており、全国に対象を広げるべきだ。
 高知県や県内市町村もさまざまな事業に活用した地方創生臨時交付金に関しては、不適切な扱いとして計7億円余りが指摘された。住民向けの水道料金減免が公的機関にも適用された事案などが含まれた。
 ただし地方創生臨時交付金に関しては、報告に指摘された以外にも、適否が議論された事業がある。
 同交付金は地域がコロナ対策に必要だと判断すれば使途は原則問われない。20、21年度に計15兆円が交付され、幅広く活用された。その中には例えば、日・祝日のバスと電車の乗車代を無料にし、コロナ禍で低迷する公共交通の利用者掘り起こしや街のにぎわいづくりにつなげた、高知市の事業のようなものもある。
 一方で他県では、地元特産物の巨大モニュメントや花火大会、施設のライトアップ、公用車の買い替えなどに使い、異論も出た。
 国は、交付金事業の効果の検証と公表を自治体に求めている。検査院が24都道府県の自治体を対象にした調査では、公表済みは2割余り(今年3月末時点)だった。動きは鈍いと言ってよいだろう。
 使途に制限がない交付金だからこそ、事業の意義や効果について説明責任が求められよう。今後の教訓にする上でも検証は不可欠だ。
 コロナ費用を巡っては、国が19~21年度予算に計上した94兆4920億円のうち、約2割が未執行だったことも検査院の調査で分かった。
 予算は本来、必要な額を積み上げて要求するものだ。作業時間が限られていたかもしれないが、過大計上と言われても仕方がない。国会の審議を経ずに政府の判断で使途を決められる予備費を多用していることも無関係ではあるまい。
 必要な事業に必要な額を充てていくことが財政運営の基本だ。改めて肝に銘じる必要がある。

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