2022.11.05 08:42
柏島のサンゴ3割が白化 高知県大月町 今夏に水温高い日続き
白化したサンゴ(大月町柏島沖=黒潮実感センター提供)
造礁サンゴは植物プランクトンの褐虫藻を体内に取り込み、光合成で作られた酸素や栄養分を得ることで生きている。白化は海水温の上昇のほか、急激な淡水の流入といった水質の変化などによって褐虫藻がサンゴから抜けることで生じる。褐虫藻が戻らず、白化状態が長期化するとサンゴは死滅してしまう。
同センターは、柏島でサンゴの定点観測を20年以上続けている。今年6月の調査では目立った白化は確認されなかったが、7月下旬以降、白化の範囲が拡大。柏島で20年ほど前から島周辺の海に潜り水温などを観測しているダイビングインストラクターの松野和志さん(51)は「8月中旬に水温が30度に達する日が10日ほど続き、白化が広がった」と話す。
柏島のサンゴは死滅に至っていないが引き続き注視は必要。同センターの神田優センター長(56)は「海水が攪拌(かくはん)されずに温かい水の層が浅瀬に停滞した」と分析。県西南部に影響する台風が少なかったことが白化を助長したと指摘する。台風接近が少なかった2020年も、9月に同規模の白化が起こっている。
ただ、台風は海水温の調整に一定の役割を果たすものの、近年は勢力が強まる傾向にある。神田センター長は「サンゴが根こそぎ倒されることもあり、単純に歓迎することもできない」と話していた。(坂本出)