2024年 04月20日(土)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2022.10.30 08:00

【不登校最多】コロナ踏まえた対応を

SHARE

 新型コロナウイルス禍が子どもたちに与えるストレスは、感染が長引くほどに膨らんでいるようだ。学校、行政、家庭とも、状況の変化に応じて機動的に対応することも必要ではないか。
 文部科学省による調査で、2021年度の小中学校の不登校児童生徒は24万4940人だったことが分かった。前年度より4万9千人近く増え、過去最多となった。
 増加の理由には、行事の中止や給食の黙食で人間関係が薄れ、登校意欲が失われた▽学級閉鎖などで生活リズムが乱れた▽欠席への心理的なハードルが下がった―ことなど、コロナの影響が指摘される。
 学校が判断した不登校理由は「無気力・不安」が突出していた。
 同じコロナ下にあった20年度の不登校数は前年度から8・2%伸び、この時も急増ぶりが指摘された。しかし、21年度の増加率はそれを大幅に超えて24・9%に上る。コロナの影響が、より根深く浸透し、深刻化していることが浮き彫りになったと言える。
 不登校対応には、未然防止、初期対応、個別支援の各段階がある。未然防止に当たっては、教育現場は、コロナ下であっても楽しいと思える学校づくり、友人関係を育める取り組み、規則正しい生活の呼び掛けなど、不登校の要因を踏まえた工夫が重要になろう。
 心が不安定になっている児童生徒への初期対応には、大人が注意を払い、接点を増やしていくほかない。
 ただ学校では、教員の多忙化によりそうした余裕がないとの不満が多数聞こえてくる。専門家は「学校内のコロナ対策、オンライン授業の準備などが教員の過重負担に拍車をかけている」と指摘する。
 教員の業務の負担軽減はコロナ流行前からの大きな課題でもある。抜本対応に時間を要するのであれば、当面の対応として人的支援の拡充などを進めていくべきだ。
 不登校の子どもへの個別支援では、学びや他者とつながる機会が保障されるよう、フリースクールなどの居場所を整えることが重要だ。
 そうした受け皿は都市部にあっても地方にはない場合もある。その場合は自治体の児童福祉、教育関係者らの目が行き届くよう、きめ細かいネットワークも求められる。
 不登校の多さが懸案となっている高知県も、全国の傾向から漏れなかった。21年度は1508人で、前年度より270人増加。千人当たりでは31・2人(全国平均25・7人)で、連年で全国最多だった。
 県は近年、不登校対策を教育政策の柱に位置付け、学校へのスクールカウンセラーや専門教員の配置など独自の対策を展開している。不登校の児童生徒へのフォロー態勢などは確かに充実しているようだ。
 だが、未然防止の取り組みは、数字上は成果を上げていると言い難いのではないか。県教委はプロジェクトチームを立ち上げて、対応を検討しているという。実効性ある取り組みが求められる。

高知のニュース 社説

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月