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2022.10.14 08:35

高知の田舎ずし、海渡る 山の幸、完全菜食主義者向け

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シンガポールに出品するビーガン用の田舎ずし。高知のソウルフードが彩り豊かに仕上がった

シンガポールに出品するビーガン用の田舎ずし。高知のソウルフードが彩り豊かに仕上がった

 タケノコやリュウキュウなど、山の幸をネタにした高知の田舎ずしが海を渡った。県内でも作り手が減る中、再興のヒントにしたのは「魚など動物性のものを使ってない」という点。海外に数億人規模でいるビーガン(完全菜食主義者)にとって、うってつけの日本食というわけだ。県内スーパーが彩りよく仕上げたビーガンずしが、シンガポールで13、14日に開催中のアジア向け日本食見本市に挑んでいる。

 田舎ずしの起源ははっきりしていない。昭和初期には、生魚が手に入りにくい山間部でかんきつ酢を利かせて作っていたとされる。1986年、旧高岡郡葉山村(現津野町)の女性グループが「田舎ずし」の名で全国のおにぎりコンテストで入選し、知られるようになった。

 素朴な味わいと色合いから、雑誌やテレビで取り上げられるようになったが、下ごしらえに手間がかかるため、多くの県民にとっても「街路市などで買って食べるもの」に。予約なしで飲食店で食べることも難しく、観光客にも届きにくい存在だった。

 県は2018年、調理師や郷土料理研究家らと「土佐寿司を盛り上げる会」を結成。県内飲食店での提供を促したり、作り方教室を開いたりして再興を進めてきた。さらに輸出を意識して、ゆず酢の香りや食感を失わない冷凍方法も確立した。

 海外進出の第1弾として土佐山田ショッピングセンター(香美市)が今夏、手まりずし風の12個入りとちらしずしの2種を完成させた。高野豆腐やゼンマイなど、ネタは全て植物由来。具材を煮付けるだしもカツオではなく、豆や香味野菜から取った。

 土佐の山々を意識し、桜の花を添えるなど「映え」を意識した現代風の田舎ずし。ちょっとりぐった私たちのソウルフードが、世界に乗り込む。(蒲原明佳)

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