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2022.09.21 08:40

白血病ユーチューバー「にゅーいん」竹内蔵之介さん(高知市)逝く 闘病記発売直前、願い託し 家族と生きた24年「周囲が接するヒントに」

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入院中の竹内蔵之介さん。闘病体験をまとめた本が発売される直前に亡くなった(7月14日、遺族提供)

入院中の竹内蔵之介さん。闘病体験をまとめた本が発売される直前に亡くなった(7月14日、遺族提供)

 「白血病ユーチューバー・にゅーいん」こと、竹内蔵之介さん(24)=高知市=が13日亡くなった。再発と副作用に苦しむ闘病生活を、動画投稿サイト「ユーチューブ」で明るく前向きに発信し続けてきた竹内さん。その内容をまとめた初めての著書「いつか、未来で」がこのほど発売された。発売を見届けることはかなわなかったが、「闘病している人に周囲はどう接していけばいいかのヒントになれば」。遺著には蔵之介さんの願いが託されている。

 5歳の時、急性リンパ性白血病と診断された。7歳の時に妹の骨髄を移植して以降も再発や副作用に苦しめられた。投稿を始めたのは2019年春。岡山の大学に入学後半年で再発し、高知で療養生活を送っていた20歳の時だった。

 自身の経験から、病気と闘う子どもを持つ親に向け「子どもががんになったら、明るく接してあげて」と呼び掛けたり、入院生活のアドバイスを送ったりする姿が反響を呼び、多くのメディアに取り上げられた。21年に放送された番組が出版社の目に留まり、書籍化が決まった。

竹内蔵之介さん著「いつか、未来で」。カバーには本人そっくりのイラストがあしらわれ、気に入っていたという

竹内蔵之介さん著「いつか、未来で」。カバーには本人そっくりのイラストがあしらわれ、気に入っていたという

 著書では、竹内さんが発信してきた内容を、語り口そのままに文章化。抗がん剤や放射線治療に加え、受けられる移植療法全3種類を〝コンプリート〟したからこその経験、長い入院生活を経て普通学校に通うことへのストレスなどがつづられる。

 竹内さんを支えた家族にも触れられる。妹との対談では、「お兄ちゃんの分までがんばれ」と言われ、妹が苦しんでいたことが明かされる。「社会貢献できていることが息子が生きてきたことへの満足感になる」「命に向き合った息子だからこそ周囲を思いやるたくましさがある」―と、両親のコメントも掲載されている。

 19年末以降は寛解を保っていたが、閉塞(へいそく)性細気管支炎を発症。刷り上がった本を目にして笑顔を見せたのもつかの間、昏睡(こんすい)状態となり、数日後に息を引き取った。

 本のタイトルは大好きな特撮ドラマ「仮面ライダー電王」のせりふから付けた。「苦しい時は心の中にヒーローをつくって」―そう呼び掛けていた竹内さん。登録者約5千人のユーチューブなどには「あなたに勇気をもらった」「数々の試練を乗り越え、自身がヒーローになった」と感謝の言葉が書き込まれている。

 「いつか、未来で」は主婦と生活社刊、1705円。(村瀬佐保)

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