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高知新聞PLUSの活用法

2022.09.19 08:00

【敬老の日】デジタルにも親しもう

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 インターネットや交流サイト(SNS)を積極的に利用する高齢者ほど、生きがいを感じて生活している―。内閣府が発表した2022年度高齢社会白書で、このような調査結果が報告された。
 調査は昨年12月に郵送で行い、2千人余りが回答。「生きがいを十分感じている」とした高齢者は、情報機器を使わない人が約1割だったのに対し、機器を使用する層は3割を超えるなど大きな開きが出た。
 友人や家族の存在、社会参加が生きがいにつながるのは、言うまでもない。だが、新型コロナウイルス禍の下、接触や活動が制限される時期が続いた。その中でデジタルツール(手段)が果たした役割は小さくないということだろう。
 「Zoom(ズーム)」などのビデオ会議サービスに関し、高齢者が使えば認知症を防げるとの研究結果も昨年、イギリスの大学から公表された。ズームの活用は医療、福祉現場で浸透しつつあり、例えば、入院や施設入所で面会が難しい状況でも、簡単に外部とつながることができる。
 こうしたことを背景に、専門家は「高齢者ほどSNSを活用すべきだ」と訴える。操作を孫に教わればそれも貴重なコミュニケーションになるとも説く。確かに、デジタル機器は高齢者の世界を広げる。
 きょうは敬老の日。総務省によると、15日時点の65歳以上は過去最多の3627万人で、高齢化率は29・1%を占める。今の社会の礎を築いた世代に対して敬意を表したい。
 一方で少子化は進み、医療や介護などの社会保障は、若い世代への負担が重くなっている。制度の持続可能性を少しでも高めていくために、高齢者が心身ともに元気で、よりよい老後を送ってもらうことは社会の要請でもある。
 その一つの手段がデジタルだろう。感染症が収束したとしても存在感が下がることはあるまい。福祉政策として、高齢者によるデジタル技術の習得支援は重要性を増していると言える。
 もちろん、身体面の健康を保つことも重要だ。喫煙、飲食、運動など生活習慣の改善で、いわゆる「健康寿命」を延ばしていきたい。
 厚生労働省が昨年末に発表した19年時点の健康寿命は、男性72・68歳、女性75・38歳で、男女とも前回調査の16年から0・5歳余り延びた。喫煙率の低下などで近年は改善傾向が続いているという。
 健康寿命は、高齢化が先行する本県にとってはとりわけ重要な問題だ。同じ調査では女性は76・32歳で全国8位だったが、男性は71・63歳で下位の43位だった。
 県は、要介護のきっかけになることが多い循環器病対策を重点化し、特定健診の受診促進、疾患の早期発見などを目指している。デジタル分野では、日高村が村民のスマートフォン普及率100%を目指すといった取り組みもある。
 複層的なアプローチで、お年寄りがより生き生きと暮らせる社会づくりを進めていきたい。

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