2022.09.07 08:40
安田町の900歳大クスノキ〝逝く〟 7月に根元から折れる、高知県天然記念物 住民「地域のシンボル、残念」
根元から倒れた大クスノキ(写真はいずれも安田町唐浜)
安芸郡安田町唐浜の神峯神社の大クスノキが7月下旬、根元から折れ、倒れているのが見つかった。推定樹齢900年の高知県天然記念物で、地域の歴史を見守り続け、ついに力尽き〝逝った〟。住民は「唐浜のシンボルであり、宝やった。残念としか言いようがない」と肩を落としている。
倒れる前の大クスノキ(撮影年不詳=安田町提供)
7月31日、翌月に行う神事の準備に訪れた住民らが、根元から折れた大クスノキを見つけた。神社の総代長を務める小松正さん(69)によると、神社を訪れるのは神事や清掃、さい銭の回収のため年3回ほど。6月に訪れた際には特に変わったことはなかったという。
現場を確認した同課の担当者は「根の部分が枯死しており、再生は不可能。7月の大雨が影響したのかもしれない」。次回の県文化財保護審議会で、天然記念物の指定解除の答申が出るのは確実とみられる。
倒れた大クスノキは現在、斜面にそのまま放置されているが、その下には民家があるため撤去する方針。重機が入らない場所にあり、町などが撤去方法を協議している。
唐浜育ちで同町文化財保護審議会副会長の松本秀一さん(80)は、15歳ごろに神祭で初めてみこしをかついだ時に仰いだ大クスノキが忘れられないという。「崇高というか、何ともありがたい感じでね。手を合わせて拝んだことよ」と振り返り、「新芽が出たら家の庭から見える。それが楽しみやった。もう見えんなるとは」と突然の別れを惜しんでいた。(植村慎一郎)