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2022.08.20 05:00

【国会召集要求】軽視の姿勢を引き継ぐな

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 新型コロナウイルスの感染拡大や物価高騰、安全保障環境の悪化など、内外に課題が山積する。それらと真剣に向き合い、対処するには国民の理解が不可欠だ。岸田政権の説明責任が問われている。国会での議論を避けてはならない。
 先の参院選後の臨時国会は正副議長らの選出にとどまり、実質審議を行わなかった。安倍晋三元首相の国葬を閣議決定した根拠や妥当性は論点であり、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題と政治のつながりに厳しい視線が向けられていた。論戦を回避する姿勢は政権への信頼をゆるがせよう。
 9月の実施が想定されていた内閣改造を前倒ししたのは、こうした逆風を沈静化させたい思惑が取りざたされた。改造に当たり、岸田文雄首相は教団と接点があった閣僚の交代を図っている。
 しかし、体制刷新の狙いは空回りしたようだ。第2次改造内閣でも閣僚や副大臣・政務官に教団との接点が相次ぎ判明している。
 政治と教団との関係の根深さを見せつける事態だ。これでは政策がゆがめられていないか疑念も浮かぶ。教団の名称変更がどのような経緯で実現したのかなど、徹底解明すべきことは多い。それを怠るようでは不信感を残す。それでは課題に対処しようとしても政策への信頼は望みにくくなる。
 新型コロナ対策でも、感染拡大と経済社会活動との兼ね合いへの理解が進んではいない。説明が足りているとは思えない。
 旧統一教会と自民党議員との関わりについて、世論調査では9割近くが説明不足を指摘している。また、政治家は関係を絶つべきだとする意見も8割を超え、自民党支持層でも同様に高い。
 選挙支援など接点のある議員が今後接触しないと主張しても、本当に断ち切れるのか判然としない。大切なのは、これまでの関係を徹底的に調べて明らかにすることだ。首相の指導力が試される局面にある。
 世論調査では、安倍氏の国葬についても、首相の説明に納得できないとする見方が納得を上回る。首相が説明を尽くしているとは言い難い。
 憲法53条は議員の要求による臨時国会召集の決定を内閣に義務付ける。それに基づき、立憲民主党など野党は臨時国会召集の要求書を衆参両院議長に提出した。
 だが、期限の定めがないため、実態は政権の意向に委ねられる。安倍政権下では、野党の要求を3カ月放置して、召集冒頭で衆院を解散する対応さえとられている。これには「違憲と評価する余地がある」とする高裁判決も出ている。
 きのうは衆院厚生労働委員会が閉会中審査として実施された。安倍氏国葬なども閉会中審査で取り上げられる予定だ。だからといって、臨時国会を開かずに徹底した審議は可能なのか。
 国会軽視のあしき前例は断ち切らなければならない。野党にも緊張感ある国会運営にする責務がある。

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