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2022.08.17 05:00

【立民の選挙総括】踏み込み不足ではないか

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 いろいろ敗因を並べたが、もう少し自分たちで何とかできたのではないか。先行きに関しても、踏み込みが足りない。7月の参院選に関して立憲民主党がまとめた選挙総括は、そのような印象が拭えない。
 立民は改選23議席から17議席に減らした。比例代表の得票は、目標の1300万票に遠く及ばない677万票で、日本維新の会の後塵(こうじん)を拝した。
 惨敗と言える結果だ。総括には、泉健太代表ら執行部の責任を明記し、「野党第1党の立場を脅かされかねず、極めて重大な危機感を全党で共有しなければいけない」とした。まさにそういう状況だろう。
 敗因では第一に、政権への批判路線から提案路線に転じたことで「何をしたい党か分からない印象を有権者に与えた」ことを挙げた。
 もし批判路線のままなら「批判ばかりの党」との指摘も出ただろう。ジレンマがあったに違いない。参院選を経て政権に対する姿勢は一定、方向付けられるのではないか。
 他の敗因では、候補者擁立作業の遅れ、他党との候補者調整の難航、組織の弱さ、政策の浸透不足、広報戦略の不十分さなどを指摘した。
 ただ、参院選は日程が決まっており、擁立作業の遅れは言い訳できない。地方の組織強化なども今に始まった課題ではない。その意味でもやはり、打つ手が鈍かった執行部の責任は重い。総括に記した「責任」が形だけであってはいけない。
 戦況に関しては、確かに厳しい面はあった。同じ旧民主党の流れをくむ国民民主党が与党に近づき、最大の支持母体である労働団体、連合は共産党との連携に反発した。野党の共闘は容易でなかった。
 だが、野党第1党としての存在感や調整力を発揮しようとしただろうか。徳島・高知選挙区は、そう疑わざるを得ない典型的なケースだ。両県連は前回3年前に続いて独自候補を立てられず、他党との関係も整理できずに自主投票とした。
 野党の選挙協力がなければ「1強対多弱」の構図は続く。他の野党との関係は極めて重要な要素だ。にもかかわらず、総括では共産との関係には触れない。この点は不自然で不十分と言わざるを得ない。
 参院選は自民党が圧勝した。選挙後、党幹部が、安倍晋三元首相の国葬を巡る野党の反対論が「国民とずれている」と発言するなど、おごりや都合の良い解釈が表面化している。重要案件でこのような状況に陥ると危うい。政治に緊張感が欠かせず、野党の存在感の回復は急務だ。
 立民は総括で、与党との対立軸や他の野党との差を明確化する姿勢を打ち出した。泉代表は続投し、党再生の機会を得た。旧統一教会と政治、新型コロナウイルス対応、安全保障環境、物価高など課題が山積する中、野党第1党の党首として改めて手腕が問われる。
 来春の統一地方選も、党立て直しへ「極めて重要な選挙」と位置付けられた。参院選の「不戦敗」で求心力が落ちている高知県連には、正念場となろう。

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