2022.08.16 08:40
全国高校定時制通信制体育大会柔道 高知県立大方高校の岡本さん県勢初V 「夢の警察官へ弾みに」
「すごくうれしい」と笑って優勝を喜ぶ岡本健太さん(黒潮町の大方高校)
6歳で柔道を始めた岡本さん。中学時代は県大会でも上位に入るなど活躍したが、高校中退で競技を離れた。当時から人を守る警察官や消防士などに憧れていたものの、「中退した以上は無理だろう」と諦め、土木関係の仕事に就いた。
転機は2018年。息子の誕生で「子どもを守れる警察官になりたい」との思いが再び膨らみ、昨年10月に同校へ入学。その夢を知った山崎大教頭(52)が「警察官を目指すならプラスになる」と自らが指導する柔道に誘い、今年5月から練習を始めた。
県内の競技者が少なく、すぐ全国大会に出場できるものの、ブランクは約10年。最初は「体が硬くて受け身もままならない」状態だった。大会までの3カ月、相手の隙を突いて投げてから抑え込む練習に力を注ぎ、腕を磨いた。
今月7日、柔道の総本山、講道館(東京都文京区)で開かれた大会には15都道県16人が出場。生きのいい20歳前後の選手が多く、各地の予選をくぐり抜けてきたこともあって「皆強そうに見えた」という。
だが、初戦で苦手とする左利きの選手を破ると波に乗り、2回戦、準決勝と突破。決勝の相手は、団体優勝メンバーだった神奈川県の強豪。「緊張した」という岡本さんだが、隙を逃さずに抑え込み、見事栄冠を勝ち取った。
山崎監督は「実力以上の力が出せた。勝負どころがうまくつかめたんだと思う」。岡本さんは「練習してきた動きを実践できた。表彰式で、やっと優勝の実感が湧いた」と振り返り、「まだ自分は発展途上だと思っている。来年は連覇を狙いたい」。前向きに笑った。(河本真澄)