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2022.08.15 08:39

元銭湯でデッサン教室盛況、東京芸大卒の移住者が指導 高知県越知町

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元銭湯を改装した建物で開かれているデッサン教室。壁には故伊藤信晃さんの作品が飾られている(写真はいずれも越知町越知甲)

元銭湯を改装した建物で開かれているデッサン教室。壁には故伊藤信晃さんの作品が飾られている(写真はいずれも越知町越知甲)


町内で8/31まで作品展
 高岡郡越知町でかつて銭湯だった建物を活用したデッサン教室が開かれている。指導するのは東京芸術大学卒業の移住女性。お年寄りから子どもまで、真剣かつ和気あいあいと鉛筆を走らせている。

 銭湯は、同町の商店街から少し脇道に入った所で、昭和初期から営業していた。客足の減少やボイラーの故障で1996年に廃業後、銭湯を営んでいた故伊藤信晃さんが趣味の油絵作品を展示するギャラリーに改装。絵画教室も開いていた。

移住者の竹山美紀さんが優しく指導する

移住者の竹山美紀さんが優しく指導する

 2014年に伊藤さんが亡くなった後も、教室の生徒たちが集って絵画サークルを週1回開催。これを聞きつけ見学に訪れたのが、東京芸大で油絵を専攻し、20年に移住してきた竹山美紀さん(34)=東京都出身。現在は夫妻で商店街に店を構え、和紙のアクセサリーなどを販売している。

 サークルメンバーに指導を依頼された竹山さんは「受験で取り組んだデッサンなら、基礎をしっかり教えられる」と21年5月から教えるように。当初、生徒はサークルの5人だけだったが口コミで教室のことが広まり、今は月4回の開催で小学校低学年から80代まで30人近くが通う。大半が初心者だ。

 ある日の教室。イーゼルが並ぶスペースの壁にはタイルが残り、銭湯の面影を伝えている。エアコンがなくむんむんとした熱気の中、生徒7人が石こう像や果物を前に鉛筆を動かしていた。「ここは少し影を濃くしたらいいですね」「もうちょっとこの鼻を前に出す感じで」と竹山さんが優しくアドバイス。生徒同士でも作品を見せ合い「いや、あんた(石こう像を)男前に描けちゅう」「腕を上げたねー」などとにぎやかに褒め合う。

 近くの松尾美和さん(66)は「学校の美術の時間に戻ったみたいで、若返った気持ち。いつも『あしたは教室がある』ってワクワクしゆう」。竹山さんは「皆さんの上達が見られて、教えていて楽しい。やりがいを感じられる時間です」とにこやかに指導している。

 越知郵便局(越知甲)のギャラリーでは、生徒たちの初めての作品展が開催中で、力作約40点が並んでいる。31日まで(平日午前9時~午後5時)。(楠瀬健太)

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