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2022.08.14 08:35

元気もりもりスタミナ漬け 山菜にニンニク、集活センターが家庭の味商品化 調理通じ交流―ちいきのおと(83)岩原(大豊町)

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スタミナ漬けを作っている「チームほおずき」の5人。「みんな好き勝手に話しながら作っていく」と笑う(写真はいずれも大豊町岩原)

スタミナ漬けを作っている「チームほおずき」の5人。「みんな好き勝手に話しながら作っていく」と笑う(写真はいずれも大豊町岩原)


 長岡郡大豊町岩原の集落活動センター「絆の里・いわはら」が、古くから地域に伝わる家庭料理を商品化し、売り出している。山菜をニンニクの利いたたれに漬け込んだ「スタミナ漬け」で、ご飯のお供にすれば食欲もりもりの甘辛味。調理を通じおしゃべりの時間が増えた女性たちは、元気がもりもり湧いてきた。

 「ちょっと味濃いかな」「濃いくらいがちょうどええんやない」

 JR土佐岩原駅近くにある同センターの炊事場。調理を担う「チームほおずき」のメンバー5人が、包丁や計量カップを手に仕込みをしていた。

山菜を混ぜ合わせるメンバー 

山菜を混ぜ合わせるメンバー 

 室内には何とも食欲をそそる香りが充満。「食べたら元気になるくらいニンニクいっぱいの方がえいろ」。下村房子さん(77)はそう言って特製だれと山菜をかき混ぜ、味を染み込ませていった。

 ◇ 

 スタミナ漬けの材料は、湯がいて20日ほど天日干ししたゼンマイに、塩漬けされたイタドリとワラビ。そこに彩りを良くするニンジンを加え、しょうゆ、米酢、砂糖、ニンニクを合わせたたれに4~5日間漬け込む。

特製だれに漬け込んだ山菜。ニンジンも加えて彩り鮮やかに

特製だれに漬け込んだ山菜。ニンジンも加えて彩り鮮やかに

 起源は不明だが、山菜が豊富な岩原や近隣集落では古くから作られていた。下村早苗さん(73)は「私が岩原に嫁に来た50年前にはみんな食べてた。でもゼンマイは入ってなかったねぇ」。具材や味付けは家庭ごとに微妙に違っている。

 同センターは2017年の発足当初から、山菜を使った商品開発を課題にしていた。ただ各家庭で受け継がれてきた料理を、誰も売り物にしようとは思わなかったらしい。商品化は、町に派遣された県地域支援企画員の強い勧めがきっかけだ。

 メンバーが約1年かけて試行錯誤した結果、共通のレシピが完成。山元民さん(77)は「大豊出身の人が食べて『あぁ懐かしいなぁ』って故郷を思い出してもらえたらうれしい」と話す。

 ◇ 

 同センターは7月下旬、近くの河原で「岩原夏のスタミナ祭り」と銘打った初売りイベントを開催。聞きつけた集落内外の人が訪れ、用意した87袋は40分ほどで売り切れた。

町外からの客も来訪しにぎわった初売りイベント

町外からの客も来訪しにぎわった初売りイベント


 同センター運営組織の会長を務める下村芳章さん(76)は「山菜の商品をやっと形にできた。販売を通して過疎高齢化が進む岩原を少しでも明るくしたい」と期待を込め、「ご飯やお酒のお供はもちろん、パスタに混ぜてもおいしい」とアピールする。

 売れ行きにかかわらず、調理メンバーの表情は明るい。「みんなぁで集まっていろんな話ができるのが楽しくて、生きがいになってる」「コロナで外に行けず楽しみがなくなっていたところ。こういう場所があって本当にうれしい」。元気の素(もと)は、当たり前の食卓に潜んでいた。

 スタミナ漬けは1袋150グラム入りで500円(税別)。同町穴内の直販所(日曜のみ)などで販売しており、9月からは同町杉の道の駅「大杉」にも並ぶという。(嶺北支局・谷沢丈流)


《ちょっとチャット》
岡田莞太君(10)大豊学園4年
 お兄ちゃんと土佐岩原駅まで散歩したり、友達と鬼ごっこしたりするのが大好き。自然がいっぱいあって、外で遊ぶのが気持ちいい。家の近くには木イチゴの木があって、よく摘んで食べています。学校では、こまや竹とんぼで遊ぶクラブに入っています。おもちゃは先生が作ってくれる。昔の遊びも面白いです。
 


 岩原は大豊町北部、標高約200~800メートルの山あいに位置し、徳島県三好市と県境を接する。平安時代中期、瀬戸内海の海賊を率い朝廷に反乱を起こした藤原純友の妻子や従者が残党狩りから逃れてたどり着き、開拓したと伝わる。7月末現在、55世帯105人。

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