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2022.08.03 08:00

【臨時国会召集】懸案を議論しないのか

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 せっかく議論の場が設定されるのに、なぜ生かさないのか。問題の放置と言われても仕方あるまい。
 臨時国会がきょう召集される。だが議事は、参院の正副議長や常任委員長の選出などにとどまり、3日間の会期で閉会することが決まっている。実質審議は行われない。
 確かに、参院選後の臨時国会は人事対応が中心で短い会期が通例だ。しかし安倍晋三元首相の国葬、新型コロナウイルス、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題、物価高対策といった国民の関心が高いテーマが山積している局面でもある。国会審議を行い、政治は速やかに対応していくべきではなかったか。
 来月27日に実施予定の安倍氏の国葬に対しては、慎重論が強まっている。安倍氏の政治姿勢や実績で評価が分かれる中、国葬の根拠のあいまいさ、国費負担の妥当性、「弔意の強制」につながる懸念などが論点になっている。共同通信の7月末の世論調査では、国葬に「反対」が53%と過半数を占めた。
 このような中、早々と実施を決めた岸田文雄首相は、野党の疑問に答え、説明を尽くす義務がある。世論調査では6割強が、国葬は「国会審議が必要」ともした。国民を分断させたままでは無責任すぎる。
 新型コロナも、「第7波」により過去にないハイペースの感染拡大が続いている。切れ目のない対応と発信が求められる状況だ。
 ただ、政府は「行動制限は考えていない」と繰り返して感染対策の徹底要請に終始し、岸田首相の主体性が見えているとは言い難い。国会審議があれば、ウィズコロナ社会の議論も深まったはずだ。
 安倍氏銃撃事件で浮上した旧統一教会と政治の関わりでは、事実が次々と判明している。世論調査では8割強が「実態解明が必要」とする。解明に消極的な自民党の姿勢は国民の意識と乖離(かいり)している。
 物価高では、今後も商品値上げが続くとみられている。秋の臨時国会を待つことなく、先手の対応を話し合う必要があるのではないか。
 共同通信の世論調査で岸田内閣の支持率は急落した。問題に臨む姿勢への不満とも見て取れよう。
 臨時国会の日程を巡っては、野党は十分な会期を確保するよう求めたが、自民は応じなかった。閉会中審査で対応していくという。
 だが、自民国対幹部は、閉会中審査の日程を明言しない。十分な審議時間を確保できるのか。タイミングを逸する恐れもある。
 参院選で大勝したからか、選挙後、自民幹部の見識を疑う発言が続く。安倍氏の国葬に異を唱える野党の主張を「国民の認識とかなりずれている」と強弁。旧統一教会と政治の関わりを「何が問題か分からない」と突き放した。いずれも聞く耳を持たない姿勢である。
 岸田首相は「聞く力」を掲げる。その謙虚さとは、ほど遠い発言だ。国会の審議時間を十分に確保することも「聞く力」にほかならない。真摯(しんし)な対応が求められる。

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