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2022.07.31 08:40

「北斎」揺るがぬ魅力 県立美術館で8/28まで特別展 しりあがり寿さんパロディー展併催「いじっても強い」

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 江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の代表作「冨嶽(ふがく)三十六景」などが並ぶ特別展「北斎展 師とその弟子たち」が8月28日まで、高知市高須の県立美術館で開かれている。同美術館では漫画家・しりあがり寿さんが北斎画をパロディー化した作品展も開催中。オリジナルとパロディー、その一部を見比べてみよう。

 「パロディーが成り立つ条件はオリジナルをみんなが知ってること。北斎なら世界中の人が知っている。特に『波冨士』なんか、『モナリザ』の次に有名と言われてますよね」

 しりあがりさんは2018年、21年と東京・すみだ北斎美術館で開いた展覧会のために、パロディーシリーズ「ちょっと可笑(おか)しなほぼ冨嶽三十六景」を制作。全46図をパロディー化した。

葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(通称「波冨士」)

葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(通称「波冨士」)


しりあがり寿「ちょっと可笑しなほぼ冨嶽三十六景」より。「銭湯でこども大暴れ」(2021年)(c)SHIRIAGARI Kotobuki

しりあがり寿「ちょっと可笑しなほぼ冨嶽三十六景」より。「銭湯でこども大暴れ」(2021年)(c)SHIRIAGARI Kotobuki


 北斎の「冨嶽三十六景」のうち「神奈川沖浪裏」は「波冨士」とも呼ばれ、「冨嶽―」の中で最も有名とされる。高くうねった波の向こうに富士山が小さく見える「波冨士」を、しりあがりさんは銭湯で子どもが暴れる場面に見立てた。

 「どういじっても北斎は北斎。揺るがない魅力がある」。そのデザイン性の高さに改めて気付かされたのは「波冨士」のもう1点のパロディーを制作した時。大波を真っ赤な太陽フレアに見立て、富士山を青い地球に―と大胆に描き換えた。「やり過ぎた」とも思ったが、北斎が元ネタであることは誰が見ても明らかで「北斎は強いな」と感じたという。

しりあがり寿「ちょっと可笑しなほぼ冨嶽三十六景」より。「太陽から見た富士山」(2021年)(c)SHIRIAGARI Kotobuki

しりあがり寿「ちょっと可笑しなほぼ冨嶽三十六景」より。「太陽から見た富士山」(2021年)(c)SHIRIAGARI Kotobuki


 パロディー展は8月21日まで開催しており、「北斎の絵ではこうなんだなと、比較して楽しむ味わいがある」。両展覧会を通して、北斎作品を身近に感じ、新たな魅力を発見してほしい、と話している。

 「北斎展」は高知新聞社、RKC高知放送の主催。(村瀬佐保)

 かつしか・ほくさい 1760年生まれ。1849年に没するまで現役を貫いた。雅号を30回以上変え、引っ越しも93回、画風を絶えず変化させていった。「冨嶽三十六景」は70歳過ぎの作品。モネ、ゴッホといった西洋の画家に多大な影響を与えた。

 しりあがり・ことぶき 1958年静岡市生まれ。多摩美術大学卒業後、キリンビールでパッケージデザイン、広告宣伝業務などに携わる傍ら、作品を発表。94年に退社後はギャグから社会派まで幅広いジャンルの漫画を手掛け、2001年に「弥次喜多 in DEEP」で手塚治虫文化賞「マンガ優秀賞」を受賞。

葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風(がいふう)快晴」(通称「赤冨士」)

葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風(がいふう)快晴」(通称「赤冨士」)


しりあがり寿「ちょっと可笑しなほぼ冨嶽三十六景」より。「髭剃り富士」(2017年)(c)SHIRIAGARI Kotobuki

しりあがり寿「ちょっと可笑しなほぼ冨嶽三十六景」より。「髭剃り富士」(2017年)(c)SHIRIAGARI Kotobuki

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