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2022.07.30 08:00

【コロナ第7波】説得力ある発信求める

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 新型コロナウイルス感染の「第7波」の拡大が止まらない。
 感染力の強いオミクロン株派生型「BA・5」の影響で、国内の新規感染者は連日20万人を超え、各地で過去最多を更新している。
 医療への負担は、都府県の多くで逼迫(ひっぱく)の目安とされる病床使用率50%を超え、懸念が強まっている。医療以外の分野も含め、感染者や濃厚接触者の増加でサービスを提供できなくなる事例も出てきている。
 政府は対応策として濃厚接触者の自宅待機期間を短縮した。医療負担軽減へ、自主検査キットの配布や在宅での相談体制強化なども進める。
 国民には「最大限の警戒」を呼び掛ける。しかし、行動制限には消極的だ。第7波に際し、社会経済活動に軸足を置いているからだろう。
 変異株は重症化率が低く、まん延防止等重点措置などを講じても効果が見通せないこともある。だがそれが無為無策に映り、高齢者や自治体から不満の声も出ている。「ウィズコロナ社会」への覚悟や意欲が発信されているとはいえず、そのことも不満が高まる一因になっているのではないか。
 感染拡大防止と社会経済活動の両立には、手詰まり感も漂う。打つ手は基本的な感染対策の徹底、ワクチン接種推進の呼び掛けなどにとどまる。新たに都道府県と「BA・5対策強化宣言」が出せるようにするとしたが、実効性は未知数だ。
 ただ、このまま成り行き任せでよいはずがない。基本はあくまで命と健康を守ることだ。特に医療体制には敏感でなくてはならない。
 変異株の特性に応じて、政府は速やかに基本的対処方針を見直すべきだ。新型コロナの感染法上の危険度が、上位の「2類相当」のままでいいのかとの議論もある。実態に応じて先手を打っていかなければ、過去の教訓を生かすことにならない。
 高知県も全国の傾向に漏れない。新規感染者が千人に迫る日があるなど感染が広がるが、浜田省司知事は社会経済活動を重視する姿勢だ。
 こうした中、県は、5段階ある対応ステージの基準を見直し、行動制限を行う時のハードルを上げた。
 現在の感染状況は従来基準なら行動制限を行う局面に当たるが、変異株の特性も踏まえて見送ってきた。しかしそれでは基準が意味をなさず、見直したという。
 ただ、感染急拡大中に基準を変更するのは、場当たり的に映る。特に、来月1日には「よさこい特別演舞」の開催可否の判断を控えており、「よさこいのために変更した」との見方をされても仕方ない。変異株の特性を踏まえた基準変更は、第7波前にできる機会はあった。反省点は多い。
 よさこい開催の可否、また、より医療が逼迫した際の行動制限の有無は、ともに賛否両論が予想され、厳しい判断になるのは間違いない。
 だからこそ、決定、発信には説得力が重要になる。真摯(しんし)な検討や客観的なデータを通じ、より大勢の納得を求めていく姿勢が求められる。

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