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2022.07.13 08:40

【動画】都内にあった...プリンプリンの安らぐ故郷 友永詔三さん(四万十町出身)「小さな美術館」あきる野市で20年

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木目が美しいプリンプリン(写真はいずれも東京都あきる野市「深沢小さな美術館」)

木目が美しいプリンプリン(写真はいずれも東京都あきる野市「深沢小さな美術館」)


 「プリンプリン物語」の人形制作で知られる造形作家、友永詔三さん(77)=高岡郡四万十町出身=が、自らの作品を公開する美術館を、東京都あきる野市に開いている。その名は「深沢小さな美術館」。森の奥の不思議な空間で、懐かしの人形や数々の像が、訪れた人を楽しませている。

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 JR武蔵五日市駅から徒歩40~50分。せせらぎの音が聞こえる山あいに、その美術館はある。案内板に導かれて木々のトンネルを抜けると、童話のような石積みの建物が見えてきた。

緑に囲まれた小さな美術館

緑に囲まれた小さな美術館


 扉をくぐって、まず目に入るのがプリンプリン。テレビで見たあの美少女主人公だが、よく見ると少し印象が違う。柔らかく浮かび上がる木目。まつげは黒と黄色のしま模様。細部のこだわりがよく分かる。

 「まつげは、ほろほろ鳥の羽根を使っています」。友永さんが教えてくれた。

 「プリンプリン物語」は1979~82年にNHKで放送された人形劇。子どもたちから絶大な支持を受けた。

 放送後、友永さんの元に返った人形のうち約100体を展示している。プリンプリンの仲間のボンボン、オサゲ、カセイジン。怪人ランカーにルチ将軍、名探偵シャーレッケ・マイホーム…。見覚えのあるキャラクターが顔をそろえる。

プリンプリン物語のキャラクターたち

プリンプリン物語のキャラクターたち


    ◆

 「小さな美術館」には、プリンプリンにとどまらない、友永ワールドの魅力が詰まっている。よく知られているのは少女を題材にした作品群。高知県内でも、道の駅あぐり窪川(四万十町)の像などでおなじみだ。

道案内をしてくれる「ジィージィー」。円空仏の雰囲気も

道案内をしてくれる「ジィージィー」。円空仏の雰囲気も

 伸びやかな肢体は独特の曲線を描いて、時に翼を持ち、時にはアクロバティックに反り返る。どことなく、観音像を思わせる雰囲気だ。

 ほかにも、劇用の人形やモニュメントの原型、仏像、版画など、大小さまざまな作品が並ぶ。

 駅からの道沿いに立つ、とんがり頭の木像「ジィージィー」も友永作品。子どもの頃に遊んだ手製のこまがモチーフだという。案内板を兼ねた「森の番人」で、地域のマスコットにもなっている。

    ◆

友永詔三さん=右=と眸さん。内外装は曲線にこだわり、テーブルや椅子も手作り

友永詔三さん=右=と眸さん。内外装は曲線にこだわり、テーブルや椅子も手作り

 友永さんは須崎工業高を経て東京デザイナー学院を卒業、オーストラリアで人形制作の腕を磨いた。日本に戻って実績を重ね、プリンプリン物語の人形デザインと制作を担当。その後も精力的な創作活動を続けている。

 オーストラリアでは師匠から「型にはまってはいけない」と教えられた。「いまだにそれをやっている感じ。いろんなことをやってきました」と振り返る。

 今年も山形県などで展覧会が予定されており、文楽とコラボした大掛かりな劇の企画も進行中だという。

 あきる野市に居を構えたのは1984年。江戸時代に建てられた古民家に手作業で改修を重ね、やがて作品を公開するようになった。

 地域情報サイトなどでは2002年開館と紹介されているが、「じゃあ、そうかな。いつが開館か、はっきりしない」。

 そんなこんなで「たぶん20年の節目」を迎えた小さな美術館。交通の便は良くないが「けっこう人が来てくれるんです。50歳前後の、特に女性が多い」と友永さん。来館者の案内を担当する妻、眸さん(76)と一緒に、穏やかに笑う。

 プリンプリンは物語の中で、故郷を探して旅を続けた。今はここが友永作品の、安らぎの故郷になっている。(片岡昭夫)

【メモ】「深沢小さな美術館」の入館料は大人500円、小中高生300円。水曜、木曜は休館、12月~3月は冬季休館。作品展のため、プリンプリンたちは時折「旅」に出る。今年は8月中旬から1カ月ほど一部作品が留守の予定。

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