2022.07.09 08:40
人気のキラ坊すいか入手難? 生産減り予約個数制限、高齢化で拍車も 高知県室戸市の西山台地
西山台地名物のキラ坊すいか。出荷が大詰めを迎えている(室戸市吉良川町乙)
「キラ坊―」は、通常の大玉より一回り小さく楕円(だえん)形の品種「マダーボール」。JA高知県や生産者によると、糖度は一般的なスイカが10~11度なのに対し、13度以上ある。
西山台地では30年ほど前に栽培がスタート。一般的な大玉スイカ栽培と併せて5、6軒が「キラ坊―」を育てていた。昨年までは4軒が栽培し、10年ほど前には約5千玉を出荷。人気が定着し、予約個数が増えていたものの、店頭にも多くが並べられていた。
ただ、今年は栽培農家が3軒になり、出荷も約3300玉に減少。これまでは10玉以上予約する客も多かったため、同店は今年から1人4玉に制限した。それでも、7月上旬までに約400件の予約が入っている上、市外にも出荷されているため、同店に「キラ坊―」が並ぶことは少なくなったという。
生産増は一筋縄ではいかない。高齢化が進み後継者難の農家にとって、重労働のスイカ栽培を続けるのは大変な苦労だ。
西山台地で30年ほどスイカを作る島本荘次郎さん(77)は「収穫は機械ではできない。狭いハウスで腰をかがめて見回ったり、運んだりするのも体にこたえる」。現在生産する農家3軒のうち2軒は65歳以上で、「仲間はみんなスイカはやめてしまった。自分もいつまでやれるか…」と話す。
1玉1500~2千円で味わえる室戸の逸品。収穫シーズンも終わりに近づく。「今年は予約分をぎりぎりさばけた」と楽市のスタッフ。「ただ、来年以降は…」と危機感をにじませた。(板垣篤志)