2022.07.04 08:40
高知県内の役場、地元外出身の職員増 10市町村は5割前後占める
調査は4~5月、34市町村にアンケートなどを実施。会計年度任用職員を除く職員について、他市町村出身者の過去10年間の増減を聞いた。職員数の多い高知市など7市町は「把握していない」、1市は「どちらともいえない」としたが、残る26市町村のうち「減った」と答えたのは4市町のみだった。
他市町村出身職員の比率は、実人数で計算するか、おおよその割合で計27市町村が回答。安芸郡東洋町の8・4%から幡多郡三原村の51%まで自治体によって差が出た。
5割前後となった市町村のうち、長岡郡大豊町は全職員94人中43人が町外出身者。「父母の出身地」などゆかりを持つ職員も含まれるが、人事担当者は「30年前だったら考えられない割合。ここ10年でぐっと増えた」と話す。30代以下の若手職員に限れば、町外出身者は8割を超えるという。
他市町村出身の職員が増えた理由については、多くの市町村がそもそも地元に若者が少ないことを挙げ「進学で町外に出て、そのまま就職するケースが多い」と分析する。
役場職員として古里に戻るパターンが減ったのは、〝公務員離れ〟も一因とみられる。アンケートでは近年の採用応募者について、過半数の18市町村が「減少傾向」と回答。「働き方改革で公務員以上に民間企業の魅力が向上した」との指摘もあった。
採用対象の中心になりつつある他市町村出身者について、人事担当者らは「地元出身者とは違う角度のアイデアが出せる」「出身地と比較し、地域を俯瞰(ふかん)的に見られる」などと評価し、歓迎する。
ただ一方で、「地元出身者の方が地域に溶け込みやすい」「地元外の出身者は数年で辞めてしまうケースも目立つ」との声も。一部の自治体は地縁の強みを重く見て、地元出身者の採用枠を設けている。(嶺北支局・谷沢丈流)